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第153話
嫌なくらい、吐き出したくなるくらい、黒いモヤモヤが俺を侵食していく。
「っ、くっ」
体を動かして隠し持っていたナイフを手に取り、勢いよく立ち上がって進む道を閉ざす男達にそれを突き刺す。
あ噴き出す血を浴びて、それを繰り返してるうちに自分も血だらけになっていって、建物の入り口に着いた頃には顔に付いた血がパリパリと乾燥して固まって落ちていく。
「テメェっ!!」
敵が一人銃口を向けてくる。撃たれたら終わりだ、と頑丈な物の裏に身を潜める。途端発砲される音が建物内に響いた。ナイフの柄を振り下ろせるように握り直して、隠れてるそこからチャカを持っている男に向かって振り投げた。
「あああっ!!!」
上手くそいつの腕にそれが突き刺さって言葉じゃないものを張り上げて地面に崩れた。そいつに近寄り刺さったナイフを抜く。建物の奥に奥に進んでいくと何かを叫んでる聞きなれた声が聞こえた。
もしかして燈人の声?
それに気づいた途端、自分が自分じゃなくなるような感覚になった。
声が聞こえた方に走り、敵だと思うやつは全員薙ぎ倒しナイフで刺す。
悲鳴をあげて失神していくそいつらに何にも思わなくて。
「真守」
そう声が聞こえて振り返ると両手を壁から付いてる鎖で拘束されてる燈人がいた。その顔は殴られて痣ができている。血も幾度となく垂れ流れていて、許せない。
まだ起きていた敵の一人、そいつが逃げ出そうとしていてその背中に向かいナイフを投げた。
「真守、やめ、ろ」
話すことすら痛いだろうに、俺を止めようと何度も声をかけてくる。
刺したナイフを抜いて繋がれてる鎖の鍵は何処にあるのか敵のポッケを漁りそれらしいものを見つけて燈人を助け出した。
「いてぇ···」
「何で燈人が捕まってんだよ!!何で!!!」
目から涙が溢れ出た。それは止まることはない。
「悪かった。本当に···」
「か、帰ってから、···っ、」
「ああ」
涙を拭いて薄く笑う。
その時響いた発砲音。
赤が散った。
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