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第155話
病院についてすぐに手術室に運ばれる。
麻酔をされて眠りに落ちるその瞬間まで、燈人の俺を呼ぶ声が聞こえていた。
***
ピッピっと規則正しい機械音が耳に入る。
起きているけれど目を開けることが億劫だ。
酸素マスクをつけているからか呼吸音がやたらと大きく聞こえた気がした。
「真守···早く起きろ」
手を握られた。
眠るその瞬間まで俺を呼んでいた声。
その手を握り返すと驚いたのか燈人がまた俺の名前を呼んだ。
重たい瞼をゆっくり開ける。酸素マスクをズラして小さく微笑んだ。
「真守っ!」
「い、た」
「わ、悪い!」
そう言いながらナースコールを押した燈人。俺の手を掴んで離さないまま目に涙を溜めてる。
「と、り···怪我、大丈夫なの···?」
「こんなの痛くもねえよ。それより、悪かった、本当に」
そう話しているうちに看護師さんがやってきて俺を見るとすぐに「担当医を呼んできますね」と走って行った。
体を動かそうとすると酷い痛みに襲われて眉を寄せる。燈人が今は動くなって言って俺の髪を優しく撫でた。
「あと3日は絶対安静です。」
軽く診察をされ何点か注意することを聞かされて医者は部屋を出て行く。
それを見計らって、いつ連絡を入れたのかは知らないけど燈人の親父さんに、親父に若がやって来た。
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