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第156話

親父と燈人の親父さんは難しい話をしている。 起きたばかりの頭じゃその話を理解するのは難しいらしい。二人が話をしてるところをボーッと見てると若がベッドの隣にあるパイプ椅子に腰を下ろした。 「痛むか?」 「大丈夫です」 「無理させたな、悪かった」 若は何も悪くないのにそう言った。俺は首を振って謝らないで欲しいと伝えようとしたのにまるで鉛のように体が重たくて動かない。 「燈人、座りたい」 「ダメだ、安静にって言われただろ」 安静にって言うのは座るなってことじゃないと思うんだけど。仕方なくそれは諦めて若に笑ってみせると若は俺の髪を撫でて「じゃ、また来るよ」と親父たちと帰って行った。 燈人と二人きりになってお互い我慢ができずに激しくキスをする。寝転んだままで、体が重たいから燈人に抱きつくことも厳しくて、少し物足りないけど寂しさはなくなった。 「燈人···」 「ん?」 「早く帰って、エッチしたいね」 「···そればっかかよ」 「燈人はしたくない?」 「···したい」 唇を尖らせながらそう言った燈人に声を出して笑う。途端傷口が痛んで眉を寄せると「こんな状態だと無理だろ」と困った顔をしながら燈人が言った。 「大丈夫だよ」 「バカか。ダメだ」 「チッ」 舌打ちを零すと燈人は厳しい顔をして、また「ダメだ」と同じ言葉を繰り返した。

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