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第162話

朝、目を覚ます、冷たいシーツ。 燈人はもうとっくに起きていてこの部屋にはいない。 「燈人ぃ」 ベッドの上から小さく名前を呼んでみる。リビングに繋がるドアは閉められてるから声が聞こえるはずないのに、ガチャッとドアが開いた。 「おはよう」 「···おはよう、声、聞こえたの?」 「あ?何か言ってたのか?」 燈人はベッドの縁に腰掛けて俺の髪を撫で、それから頬に手を滑らす。ひんやりと冷たい、けれどすごく愛しい手。そう思っていると突然、そのまま指を口に突っ込まれて反射的に噛んでしまった。 「飯、食えるか?」 「はへる」 「トーストだけだけどな」 「ひーよ」 「ふっ」 笑って口から指を引っこ抜き代わりにキスをしてくる。さっきとは違い熱いくらいの舌が突っ込まれて舌を絡める。 幸せだなぁ、と思いながら激しくなってきたそれに燈人の着ているシャツを掴んだ。 「起きる?」 「起きる」 至近距離で見つめ合う。 ベッドから抜けると下着を履いているだけだから燈人に服を持ってきてもらっていそいそと着た。 「ねえ、ベーコンあるっけ」 「あるんじゃね?」 「卵は?」 「多分それもある」 じゃあパンにベーコンと目玉焼きを乗せてあの某アニメ映画に似せたご飯にしよう。 リンゴはないけど。

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