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第163話
いつ親父に伝えに行こう?
「どうした、そんな顔して」
「···浅羽を離れるって事考えてた」
「考えても何もなんねえよ。行動するしかない」
「わかってるけどさ、ちょっと寂しいなって思ったの」
くわっとあくびを零し、浮かんできた涙を服の袖で拭う。
「あー···お酒飲も」
「付き合う」
付き合うとか言って、本当は自分も飲みたいだけのくせに。
お酒を冷蔵庫から取り出してテーブルに持っていく。席について早速···と飲み始めた俺は最近飲んでなかった酒に嬉しくなって、すごく美味しいと感じて、加減をせずに始めから勢いよく飲んでいく。
朝っぱらからこんな事しても燈人は怒らない。いつもなら怒るんだろうけど考えることをやめさせるために我慢してるのかも。
「そんな飲み方してたら酔うぞ」
「おいしいんだもーん」
それに酒にはまあまあ強い方だし、大丈夫大丈夫!
「いい加減飲むのやめろって」
「んぅ、やだやだぁ···」
「まだ昼だぞ、そんなに酔ってどうすんだよ」
視界がユラユラと揺れてる。
それが面白くてふふっと笑うと怪訝そうな顔をした燈人が俺の髪を撫でる。
「燈人···」
「ん?」
「ふふっ」
「···ほら、水飲んでちょっと寝てろ」
燈人の首に腕を回して抱きつく。
邪魔だとか言いながらも水を飲ませてくれたりベッドに運んでくれたり、優しいところが嬉しくて口元が緩んだ。
「やだ、やだやだ、一緒に···」
「一緒にいてやるから、先に向こうの片付けさせてくれ」
「わかった!」
手を離すとさっさと向こうに行った燈人。俺は1人ベッドでゴロゴロしてまだかな、まだかなってずっと待ってた。
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