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第164話
いつの間にか寝てしまってたみたい。
目を開けたはずなのに視界は真っ暗、それに息苦しい。少し体を動かして上を見るとそこには整った燈人の寝顔。
俺を抱き枕にして寝てたみたい。
可愛いなぁと抱きしめたらモゾモゾ動いた燈人が俺の頭を胸に押し付けてきた。
苦しいけど大好きな燈人の匂いに包まれる。嬉しくてグリグリと顔を押し付けてると上から「いてぇ···」と小さな掠れた声が聞こえてきた。
「ん、ふふ」
抱きついたまま離れないでいると髪をよしよしと撫でられた。
そのまままた眠ってしまいそうな燈人。
突然時間が勿体無い、と体を起こして仰向けになった燈人の上に跨った。
「重い」
「太ったかな」
「太ってはねえと思うけど、重い」
座ってるのは怠くて燈人に重なるみたいに体を倒す。重いって言った癖にそれをやめさせようとしないから別に嫌じゃないんだろうなと勝手に思ってスリスリと体を摺り寄せて甘えてみる。
「もうどこも痛くねえのか?」
「ん、大丈夫」
「···よかった」
ニコッと笑って燈人に触れるだけのキスをすると燈人は小さく笑って俺の頬を撫でる。
俺も手を伸ばして燈人の鼻をつまむと眉間にしわを寄せて離せと文句を言われた。
「苦しい」
「ぶっ···ははっ」
「あ!おい、そっちは落ちるぞ!」
笑って燈人の上から退こうと左側に降りようとしたらそこにベッドはなくて···大きい音と一緒に地面に叩きつけられて地味な痛みが襲ってきた。
「···おい」
「痛い」
「だろうな」
「頭打った」
地面に転がったままでいると燈人が溜息を吐いて俺に手を伸ばしてくる。
「ねえ燈人」
「あ?」
「言うの遅い」
「テメェが勝手に笑いながら落ちてったんだろ」
「···その言い方じゃ俺の頭がイカれたみたいじゃん」
立ち上がって伸びをする。
燈人も俺に次いで起き上がってさっさとリビングに行こうとする。
「おいてかないでよ」
「早く来い」
差し出してきた燈人の手を掴んで一緒に寝室を抜けた。
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