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第167話

トラが帰ってからすぐに自分では滅多にしない掃除をした。 いつも燈人がしてくれてるから綺麗なんだけど。 「疲れた···」 ソファーに座ってグッと体を伸ばす。 パキポキ音がなって気持ちいい。 そうして少し寛いでると寝室のドアが開く。 フラフラした足取りで部屋から出てきた燈人は俺に見向きもせずに廊下の方に向かう。 「燈人?」 「···トイレ」 「あ、そう」 どこかに徘徊に行くんじゃないかと思って少し焦った。 トイレから帰ってきた燈人はベッドに行こうとせずにソファーに座る俺の隣に腰を下ろす。 「燈人?ちゃんと寝ないと」 「···ん」 「ほら、ベッド行こう?」 そう言ったのに俺に寄りかかって動こうとしない。 触ってみると異様に熱いし··· 「歩ける?」 「やだ」 「·········」 今やだって、言った!? あの燈人が!? 驚いて燈人の顔を覗くと赤くなってて目が少しトロンとしてる。 「じゃあ布団持ってくるから待ってて」 立ち上がって寝室に行こうとするとその後を燈人はノソノソと追いかけてくる。 ···もしかして俺から離れたくないとか思ってくれてるのかな。 それなら、一緒に寝てあげるのが一番だ。 「燈人、一緒に寝よ」 「ん」 ベッドに寝転んで燈人を呼ぶとゆっくりとベッドに上がって眠りだす。そんな燈人の目からは体温が高いからか涙が溢れていて。 その涙を拭っていつもよりも大分子供っぽくなってる燈人の背中をポンポン撫でた。

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