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第170話
お風呂が沸いて燈人を起こし、2人で風呂に入った。
冷たい飲み物を飲んで「腹が減った」と言った燈人にうどんを作って出してあげる。
「熱下がった気がする」
「気がするだけでしょ、まだあるよ」
「もういい、大丈夫だ」
「そんなわけないじゃん、今日1日は寝てなよ」
燈人の額に手を置いてみるとまだ熱いし。
立ち上がろうとする燈人をダメダメって抱きしめたら俺に軽く凭れ掛かってくる。
「ほら、体辛いんでしょ。」
「んー···」
「ベッド行くよ」
「したい事がある」
「何」
いうことを聞いてくれない燈人。したいことって何?と燈人の顔を覗くと首に噛み付かれた。
「いっ、たっ!!」
「あ、悪い。血、出た」
「そりゃ出るでしょ!?何してくれてるの!?」
燈人は噛んだところを何度も何度も舐めてくる。
血が出てるから「不味い···」なんて言葉を零しながら。
「燈人が噛んだんだろ!?」って怒鳴ってやりたいのを病人だからと我慢した。
「キス、できないから」
「はぁ?」
「キスしたら、風邪うつるかもしんねえだろ。だからキスはダメだと思って」
「噛み付いたの?」
「ん」
···か、わいいけど···可愛いけど!!
堪らず燈人の唇に触れるだけのキスを落とす。
目を見開いた燈人は俺の顔を両手でサンドした。
「ダメだ、って、言った」
「でもしたかった」
「···あっそ」
さてと、そろそろ燈人が辛そうだ。
何とか体を支えてあげてベッドに寝かせる。
このままもう明日の朝まで何事もなく眠ってくれ。
そんなことを思ったけど、それはそれで俺が寂しいなぁ、なんて全く反対のことも思っていた。
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