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第172話
朝起きると隣に燈人はいなかった。
急いでリビングに行くと何もなかったかのようにソファーに座り、テレビを見ていた燈人の隣に慌てたように座って、そのまま燈人の額に手を置く。
「何だよ···熱はもうねえよ」
「よかったぁ···」
安心して燈人に抱きつくと髪をガシガシ撫でられる。顔を胸にくっ付けてると「ありがとな」と小さく燈人が呟いて嬉しくてふふっと笑う。
「あ、そういえば!」
「何だ」
「ねえ、燈人は何か嫌だなってことあるの?···昨日すごい魘されてたからさ」
「······ねえよ」
ふーん?その割には動揺してるみたいだけど。
気付かないふりをするのは燈人が話したがらないことを無理矢理聞くわけにはいかないから。
「ね、ご飯食べよ」
「ああ」
「···大丈夫?」
「大丈夫」
少し鼓動が速くなってる。
顔を上げると燈人が小さく笑った。俺は何も言えなくなってしまって、かわりにとキスをした。
「好きだよ」
「···俺もだ」
「だから、何かあったら言ってね。」
「あ?」
「ううん、何でもなーい」
キッチンに行ってはぁ、と小さく息を吐いた。
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