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第173話
ご飯を作って2人で食べる。
昨日は全然食べれなかったご飯をばくばく食べる燈人を見てると思わず笑みが漏れた。
「今日は休む?」
「仕事する」
「···俺、早いとこ親父に伝えに行こうと思ってるんだけど···都合がいい日、ある?」
「いつでもいい。お前が今日伝えるって覚悟決めたとき」
「覚悟って···まあ、それくらいのことか」
「当たり前だろ。いくら浅羽の親父さんが提案してくれたことだとしても、それなりの姿勢でいないと許してもらえねえぞ」
だんだんご飯を食べるために動かしていた手が重たくなる。もういらないや、と食器から手を離しボーッとしてると燈人に「何してんだ」と訝しげな目で見られた。
「食わねえのか?」
「もういらないや」
「何で」
「んー、お腹いっぱい」
ヘラリ、笑うと眉を寄せてわざわざ立ち上がり俺の隣に座った。
「風邪、うつしたか?」
「ううん、本当にお腹いっぱいなの」
「いつももっと食うだろ」
「ダイエット?」
「もしそうならそんなのしなくていい」
料理はできないからってよく食器洗いをしてくれる燈人は、今日もサッサッと動いてテーブルの上を綺麗に片付けてくれる。
「ありがと」
「いい、お前のがいつも大変だろ」
食器洗いをする燈人に後ろから抱きついて、燈人の匂いに満たされて少し沈んでた気持ちもちゃんと元通りになった。
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