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第177話
「失礼します、赤石です。」
「桜樹です。」
浅羽組にきて親父の部屋に声をかける。
少しすると「入れ」と親父の声が聞こえて中に入って軽く頭を下げた。
「おう、どうした。桜樹のも来て、大層な話か?」
「あ、の···」
「俺から話しさせてもらってもいいですか」
燈人がなかなか話を持ち出さない俺の代わりに話をしてくれる。それに親父は頷いて「お前はどう考えてるんだ」と聞いてきた。
「俺は···桜樹に、行こうと思います。それはここが嫌だとかじゃなくて···」
「ああ」
「えっと···っ、」
「別に責めたりしねえし、お前のしたいようにすればいい。でも、それをお前の口で伝えてくれねえと俺はそうしてやれねえ」
真剣な目で見られて固まってしまう俺に燈人は大丈夫だと言ってくれる。だから一度小さく深呼吸をしてまた口を開いた。
「俺、燈人が好きで···こんな俺だけど燈人を支えてあげることくらいできるんじゃないかって思って、だから···誰よりも側にいたいんです」
「わかった。」
低い声でそう言った親父は1度目を閉じてゆっくりと開ける。
「───桜樹に行くことを許す。だからもっと自信を持て。不安になったらいつでもここにこい、ここにいるやつはお前の事を家族だと思ってるから。」
「はい」
「桜樹の。お前もこいつを支えてやってくれ、もうお前も知ってるだろうが、こいつは笑っている時ほど泣いてる時がある」
親父の言葉に頷いた燈人が「任せてください」と言ってそれを聞いた親父は優しく笑う。
「任せたぞ。」
最後に強くそう言った親父は俺の頭をガシガシ撫でた。
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