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第181話
「そうだ、朝ご飯食べた?」
「まだ」
「じゃあ食べよ」
立ち上がろうとすると突然腰が抜けたみたいにヘナヘナ床に座り込んでしまった。
···そういえばさっきは大変だ!って思って何も考えずに動いてたから何もなかったけど、俺···昨日わけわかんないくらいエッチしたんだ。
腰が立たない!!燈人を見上げるとクスクス笑ってて俺の頭を乱暴に撫でてくる。
「ビックリした」
「ああ、ここ座れるか?」
「うん」
何とか立ち上がってソファーに座り直し燈人に凭れるとまだクスクスと笑ってて、ちょっとは機嫌直ったかな。と少し安心した。
「ごめん、ご飯後でいい?」
「おう」
座ってる俺の腰を撫でて「大丈夫か?」と何度も心配してくる燈人に「いつもヤった後はこうだよ」と言うと「加減はしてるつもり」なんて言われて思わず笑ってしまう。
「嘘でしょー!笑っちゃったよ!」
「たまにな」
唇に触れるだけのキスをされてふふっと笑って和やかな雰囲気を楽しんでた。なのに···
軽快な音がそれを崩した。
すぐ側に置いてあった俺の携帯が鳴って、ちぇーっと思いながらもその音は着信だからと急いで携帯を手にとって画面を確認した。
「あれ、佐助だ」
「あ?」
燈人の眉間に皺が生まれる。
へへ、と笑いながらその電話に出ると酷く雑音が聞こえてきた。
「佐助?」
「···おはよう」
「うん、おはよ。すごい雑音だけどどうしたの?」
「雑音···?電車が通った」
「あ、そう」
何で電話をかけていたんだろう?
頭にハテナマークを浮かべてると「あっ!」と言って通話が切れる。
「え···?」
「おい、佐助、何だって?」
「いや、何も···!すぐ切られた」
「···あいつは昔から変わってるからな」
そうなんだろうなってのは佐助に初めて会った時に気付いてるから大丈夫。何だったんだろう?と携帯を元の場所に置いて、何か重要なことならまた連絡が来るだろ、って燈人に甘える、首に腕を回して体を密着させキスを強請るとそれに応えてくれた。
与えられる気持ちよさにずっと浸っていたいなぁと思いながらも、一番気にかかるのは燈人と羽島くんのこと。
あんな信頼しあってる2人があんな風に喧嘩するなんて。ちょっとだけショックな自分がいて、だから燈人も羽島くんと俺以上にショックなんじゃないのだろうか、とそう思うと悲しくなった。
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