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第183話

自分の用意をし終わって燈人を起こすとノロノロと洗面所にいって顔を洗って出てきた。 「行くぞ」 「はーい」 もともと服を着替えてた燈人は玄関から俺を呼んで、急いでそこに行くともう家を出ようとしてて「待ってよ!」って手を掴んだらダルそうな顔で見られて。 なんかいつもと違うくない? そう感じてその手を離すと先に外に出て行ってしまう。 いつもより冷たい、そう感じて胸がキュッと苦しくなる。 「気のせいだ。大丈夫大丈夫···」 ふぅ、と息を吐いて立ち上がり家を出て鍵をかけた。先に駐車場にいっちゃった燈人を追いかける。 俺何かしたかな?羽島くんと喧嘩したから気分が下がってるだけ? さっき大丈夫って自分に言い聞かせたはずなのにもう苦しくなってきてしまう。 駐車場について車に乗り込むと何も言わずに車が発進して、急いでシートベルトをつけて燈人の方を見る。いつも以上の無表情で寂しくなるけど仕方がない。 「···どうかしたの?」 「何が」 「···ううん、何でもない」 仕方がない、だから俺も落ち込むな。 何も考えるな!と頭の中で言葉を繰り返した。 「若が、変なの···?」 「そう。実は今日羽島くんと喧嘩してさ、その後すぐは別に何ともなかったのに寝て、起きたら変だったの」 「ふーん···あ、抹茶ダメだよ、それ危ない」 「ねえ佐助ぇ」 「あ、ごめん···若が変なのはいつもの事だよ···?」 「それ燈人が聞いたら怒られるよきっと」 買い物の途中も全く俺に興味を示してくれなくなった燈人。 帰ってきてからも自分の部屋に閉じこもっちゃって俺は一人ぼっち。あまりに変だし寂しいし朝かかってきたし、と佐助に電話をかけた。けど、全然何も解決しない。 「大丈夫だよ。寝て、起きたら、いつもと同じ」 「そうじゃなかったら?」 「···わかんない」 「何それ」 思わず笑うと向こうで佐助が笑ってるのがわかる。 少しだけ軽い気持ちになって佐助に「ありがとう」って伝えたら「どういたしまして」って言ってから佐助にしてはすごいでかい声で「抹茶!ダメだって!」と言って通話が切れた。 抹茶って佐助の飼ってる猫だよね?多分、家にいる間はその子から目を離さないでいるんだろう。すごく大切にしてるんだなぁ、と思ってたら玄関で靴を履いて鍵が開いた音がして急いでそこに行くと燈人が出かけようとしてる。 「ど、どこ行くの?」 「ちょっとな」 それだけ言って出てった燈人。 へたり、とその場に座り込んだ俺にフローリングのヒンヤリとした温度が体を冷やしていく。 「何か、したかなぁ···?」 わからなくなって立てた膝に顔を埋めた。

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