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第188話 燈人side

俺の腕の中でズシリと重たくなった真守。 様子を伺えば意識を失ってて"やってしまった"とすぐに羽島に電話してこっちに医者を呼んでもらった。 軽い脳震盪だって言われて安心したけど、医者と数人の部下を引き連れて一緒に来た羽島に「何をしたんですか」って鋭い眼光で睨まれる。 「···里の話をした」 「それで?」 「何度も、俺は悪くないって、いうから···」 「殴ったんですか」 眠る真守の頬には真新しい傷。 大股で俺に近づいた羽島にいきなり胸倉を掴まれ殴られた。 「あんた、いい加減にしろよ」 「羽島?」 「赤石がどんな思いでいたのかわかってんのか!!」 煩く心臓が音を立てる。 酷く喉が乾く。 こんな気持ちになったのは里が死んだと聞かされた時以来だ。 「あいつ、ずっと我慢してたんだぞ!!あんたの様子がおかしいんだって!!きっと寂しい思いをしてたはずだ!!」 「じゃあ···どうすればよかったんだよ!!」 「過去のことに囚われてんな!!里さんはもういねえんだよ!!あんたを置いて一人で逃げたんだ!!」 その言葉を聞いた瞬間体から力が抜けた。 何も聞きたくない、何も見たくない、そう思う俺を羽島は許してくれるはずがない。 「1人で楽になったんだ。周りが認めてくれねえなら、あんたが本当に大切なら、認めてくれねえ奴らなんて放ってあんたと逃げることができただろ!!」 「うるせえ···」 「赤石だってそうだった。でもあいつは、死のうとした時以来あんたの事を1番に考えて生きてんだよ」 「···うるさい」 「あんたがそれを一番わかってやんねえといけないんだ!!なのにわかろうとしない!!あいつはあんたがこれ以上1人で抱え込まないように、正しいことを言っただけだろうが!!」 しゃがみこんで膝を立てそこに顔を埋める。 きっと正しいことを言ってる羽島。だからこんなにも胸が苦しい。 「赤石は俺が連れて行く。これ以上あいつを傷つけるならもう2度とあいつに会えないと思え」 「···お前さっきから誰に口きいてんだ」 「情けない臆病な上司にだよ」 俺から離れた羽島は組にいる部下に赤石を運ぶのを手伝えと連絡を入れている。どうしていたら今、こんな状況になってなかったのか、考えても考えても答えは出てこなかった。 「少しまともになったら組に来てください」 最後には敬語を使ってそう言った羽島。さっきみたいに鋭い目でもなかった。組員達に抱えられる真守が見えなくなった途端に鼻の奥がツンとなって涙が溢れてくる。 「里···」 羽島の言った通り、俺は情けなくてただただ臆病だった。

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