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第193話

玄関がとてつもなく騒がしい。 ドタドタとうるさい足音がだんだん近づいてきてその原因が姿を現した。 「お前と同じ金髪がいる!!」 「お揃いだー!お兄さんかっこいいね名前なんていうの?」 顔のよく似た二人の男。二人とも制服を着ていて高校生にみえる。片方は金髪で片方は銀髪。 その後ろから般若の如く現れた羽島くんは二人の頭をパンっと叩く。 「「いってぇ!!」」 二人が見事にハモって叩かれた場所を押さえしゃがみこむ。 「うるさいっていつも言ってんだろうが!!」 「だってよ兄貴」 「聞いてくれよ兄貴ぃ!」 羽島くんの両サイドに二人がついて肩を組む。それから長く深いため息を吐いて泣き真似をしだした。 「母さんが怒ってさぁ」 「俺たち飯無いし、さっさと出てけって言われるし」 「だから兄貴を頼って」 「やって来ました」 ポーズを決めた二人に馬鹿野郎と言わんばかりの拳を振り落とした羽島くんは二人を正座させて何をしてどう怒られたのかを聞いている。 俺はその話を聞いているとどうやら金髪が太陽で銀髪が架月と言うらしい。長い長い説教が終わった後痺れた足で床に這い蹲りながらも俺の元にやって来た二人は「初めましてぇ」とニコニコ笑っている。 「兄貴の弟でこいつと双子の兄の太陽でーす」 「太陽の双子の弟の架月でーす」 足の痺れもいくらかマシになったのか俺の両サイドに座りヘラヘラ笑ってる。濡れてる髪をタオルでワシャワシャされたり、なぜか頬を突かれたり、すげえ遊ばれてる気がして羽島くんに助けを求めるように目を向けると「悪い」と口を動かした。 「なあなあ、あんたの名前は?」 「お兄さん本当かっこいいよね、もしかして兄貴と付き合ってるの?あ、大丈夫大丈夫!俺偏見とか無いし、むしろ俺もそっちの質だし!」 「え、太陽!そうだったの!?まさか···俺のこと狙ってたり···」 「架月···ごめんな。俺、ほんとはずっと···」 突然始まった二人の掛け合いに思わず立ち上がりその場から逃げて羽島くんに駆け寄った。 「おかしい、羽島くんの弟なんだよね?何であんなにテンション高いの!?」 「おい、それだと俺が暗いやつみたいになるだろうが」 さっきあれだけ怒ってたくせに二人のご飯を作ってあげてる羽島くん。キッチンから見える双子をコソッと覗くと何故かゲラゲラ笑っていてそれからあちらもこっそりと俺を振り返った。 「ねえ!名前教えてって!」 「あ、赤石真守」 「真守な!」 年下に呼び捨てにされた!! まあそれはいいんだけども!何だかすごい負けた気分だ。

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