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第194話

「太陽、いい加減どいてくれないかな」 「やだね。だってこの体勢のがテレビ見やすい」 「だからって俺を座椅子にしないでよ!」 ご飯を食べて寛いでる太陽は何故か俺が座る足の間に座って凭れ掛かってくる。その太陽を座椅子にしてる架月。二人分の体重がかけられて少し重たい。 「ねえねえ、兄貴と付き合ってないなら誰と付き合ってんの?真守色気すごいよ、誰かに抱かれてるの丸わかり」 「うっそ、やばい?俺エロい?エロい感じが出てるの?」 「うん、なんか···夜一人で歩いてたら喧嘩とかより襲われないか心配になる。な?架月。···あれ、架月?おーい」 太陽が架月の顔を覗くとスヤスヤ眠ってて羽島くんに「兄貴ー、架月寝ちゃった」と報告してる。 面倒そうにやって来た羽島くんは架月を抱き上げてソファーに寝転ばせ毛布をかけてあげて、そのままどこかに消えてしまう。 静かになるリビング、気まずいなぁと思って適当に話題をみつけて太陽に話しかけた。 「太陽はさぁ、本当に男が好きなの?」 「女も男も好きだよ。ていうか誰でもいい!俺のことを理解してくれるなら。俺と架月って髪色以外何も変わんないだろ?明日俺が髪を銀にして架月が金にしたらほとんどの奴が俺のことを架月って呼ぶし、架月のことを太陽って呼ぶんだよ、きっと。」 「それが嫌なんだ?」 「別に、もう慣れた」 「悲しいね」 そう言って小さく笑うと太陽は振り返って俺の首に腕を回してくる。突然の妖しい雰囲気に苦笑を零すと太陽も同じように貼り付けただけの笑顔を見せた。 「別に、悲しくなんて無いよ?だって俺は太陽だけど架月にもなれるから」 「俺にとってそれはすごく悲しいことだよ」 「何で?楽しいよ?つまらない授業だって代わりに架月が受けてくれるし、俺も架月にとってつまらないことを代わりにやってあげれる。」 「自分のためにならないけどね」 「そんなの今更どうでもいいもん。てかさっきから説教臭いよ、うるさい口なんて塞いじまうぞ」 そう言って顔が近づいてくる。 羽島くんの弟なだけあって顔は整っていて、化粧したり女の子の格好をしたら、男には見えないと思う。 「キスしていい?」 「だめ」 「何で?彼氏でも無い兄貴のところにいるんだから喧嘩かなんかしたんでしょ?」 「鋭いね。確かに今はちょっと不安定な感じだけど、そんなときに俺が相手を裏切ることはできないなぁ」 「意外と一途なんだね」 パッと体を離した太陽は架月が寝てるソファーからベッドに変身させて架月の隣に寝転ぶ。 ていうかそれソファーベットだったんだ。 「あ?お前も寝るのか?」 「うん、疲れた」 「明日は帰れよ」 「わかってる!」 羽島くんが戻ってきて太陽を見て呆れたように肩を落とす。少しすると2人分の寝息が聞こえてきて羽島くんと目を合わせクスクス笑った。

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