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第199話

「真守ー」 「真守ってば!こっち向けよ!」 「おい!淫乱野郎!」 その言葉を聞いてイラっとして双子がいる部屋を睨むとドアが少し開いてそこから手招きをしてる。 フラフラーと立ち上がってそこに向かうとさっきはフォローありがとう!と言わんばかりの笑顔と親指を立てたサインを送ってきて思わず双子の頭を叩いてしまった。 「誰が淫乱野郎だよ!ていうかそんなこと言ってたら羽島くんにバレるよ」 「それもそうだけど、名前呼んでも反応しなかったじゃん」 「それならこっちの方がいいかなぁーって」 にっこり笑った双子に呆れて溜息を落とすとすかさず太陽にキスされて眉を寄せた。太陽が離れた後は架月が同じ行為をしてきて2人共キャハキャハ笑ってる。 「あのさ、羽島くんの弟達とこんな関係になりたくなかったんだけど」 「まあまあ、気にすんなよ」 「そんなの気にしてたら面倒だよー」 「気になるから言ってるんだけどね。話通じないな」 双子から離れて羽島くんがいるキッチンの方に行く。お鍋の中をお玉でかき回してる羽島くんの後ろから肩にトン、と額を置いた。 「どうしたんだよ」 俺のことには気付いてたのか驚きやしない。それどころか空いていた手で頭をポンポンと撫でられる。ああ、すごく優しいな。そう思うと羽島くんの細っこい腰に腕を回して抱きついていた。 「おい、まだ寝ぼけてんのか。俺は若じゃないぞ」 「寝ぼけてなんかないよ···ごめん、ちょっとだけこのままでいさせて」 羽島くんが深く息を吐いたのがわかった。グツグツしてたお鍋の火を止めてクルリと振り返り「よしよし」と背中を撫でられる。 俺の方が羽島くんより身長は高いのに、長い間お兄さんをやってるからか人の面倒を見るのが得意なようだ。 「若のことは待ってたら大丈夫だから。」 「羽島くん···」 「何だよ」 「···ううん、ありがとね」 ちょっと甘えてから体を離す。 ヘラリ笑えば「無理はすんな」と言われてコクリ頷いた。 トボトボとリビングに戻れば双子が俺を見てニヤニヤしてる。 「お兄さんお兄さん、ちょいと来なさいな」 「何···?」 「ここに座って!」 言われた通り座ったそこは双子の間。 何かする気かと思ったけどただ単に寒かっただけみたい。2人共俺にくっついて動きにくい。 「さっき兄貴とイチャイチャしてたじゃーん」 「兄貴優しいから今の彼氏やめて兄貴にしたら?」 「うーん···そしたら羽島くんが怒られると思うからそれはダメだね」 服の裾から侵入してきた手を叩き落としてそう言う。 こいつらに隙を見せたらダメだ!と手を入れてきた架月の額に思い切り額をぶつけた。痛みに悶絶してる架月は涙目になって俺を睨んでくるけど怖くなんてないね。とケラケラ笑う。 「おい、架月に何してんだ」 「あんまり調子に乗るなって叱っただけだよー」 酷く鋭い目をした太陽が架月の横に移動して赤くなってる額を触り「大丈夫か?」と優しい声音で言ってやってる。 うんうん、変に3Pなんかしないで双子で兄弟でヤってる方が可愛くていいよ!と心の中で言ってると「お前ら何してんの?」と呆れたように言葉を吐き出しながらご飯を作って持ってきてくれた羽島くん。 「真守が架月に手出した!」 「手じゃないしー!頭だしー!」 「痛い痛い!兄貴痛い助けて痛い」 架月が羽島くんに擦り寄って「痛い痛い」と繰り返す。そんな架月の頭をさっき俺にしてたみたいに「よしよし」と言いながら撫でた。 「喧嘩すんな」 「喧嘩じゃないよ」 ヘラヘラ笑って美味しそうなご飯に手を伸ばす。 「いただきます」をちゃんと言ってから美味しそうなそれを口に含んだ。

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