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第205話 燈人side

イライラして堪んねえ。 羽島と真守が家を出て行った後、一人でボーッとしていたけれど不意に思い出す里の事で胸が締め付けられるようで苦しい。 そう言う時に限って電話がかかってくる。最近毎日のようにかかってくる決まった相手からのそれに出ると聞き慣れた猫撫で声が耳に触れる。 「早く来てよ」 「今日は行けない」 「どうして?気分が悪いの?何かあったの?」 気分は最高に悪い。 何せ恋人を殴って気絶させ挙句、部下に連れて行かれてしまったんだから。 「そういう時こそ、発散が必要でしょ?」 「···いい、今日は無理だ」 「ねえ、何様のつもりよ。里の事殺しておいて言うこと聞けないの?」 その言葉に我慢できなくなって通話を切りベッドに潜る。少しだけまだ暖かい、真守の体温に匂い。そうだ、俺は最近あいつのことを蔑ろにして自分のことで精一杯だった。自分がこの罪悪感から逃げていただけで···あいつには何もしてやれてなかった。 「こんな俺じゃ···親父も真守も、誰も許してくれねえな···」 誰かに向けるわけでも無くただ言葉を吐いたらそれがブーメランになって返ってくる。胸が痛い、苦しい、何も考えたくない。 視界がぼやける、泣いちゃダメだ。俺が泣くべきじゃない。目を閉じて深く深呼吸をすれば幾分か落ち着く。 少し眠ろう、そしたら元に戻る。ちゃんと真守に謝って、それから··· 里のことを、忘れないとなぁ。

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