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第213話 真守side
「2人のせいでまともに歩けない」
帰り道にそう文句を言うと二人は目を逸らして俺を見ようとしない。何も言わない双子にさり気なくゴホンと咳払いをすると肩を揺らしてすごく面白い。
「ご、ごめんなさい」
「ごめん···」
金と銀が消え入りそうな声でそう言った。思わずケラケラ笑うと俺が怒ってないことに安心したのか2人は顔を見合わせてホッと息を吐く。
「まあ、そんなことで怒らないけどねぇ。ていうか、そうだ、多分もう少しで俺の彼氏が俺のこと迎えにくるから、これが最後かも」
「「え!?」」
2人の声が見事に重なる。
驚き目を見開いてやだやだって駄々を捏ねる子供みたいに言う2人にどうしたものか、と少し困った。
「もう真守と会えねえの?」
「いや?いつでも会えるよ。でも···」
「でも?」
聞いてきた架月、首を少し傾げていて可愛いなぁとふふっと笑った。
「もうこういうことはしない。」
キッパリ言った俺に双子は唇を尖らせた。それを見て見ぬ振りして先々と歩く。先々とは言っても腰の違和感があるからそんなに早く歩けなくて、すぐに双子に追いつかれ両サイドから腕を絡め取られた。
「彼氏さんが迎えにくるまで俺たちのものー!」
「それまではいいんでしょ?」
うーん。いいってわけでもないけど。
そういう気持ちを込めて曖昧に笑うと2人は都合のいいように解釈したようで「やったー」と笑い合った。
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