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第214話 燈人side

「治ったんだ!!」 「治ってないです!!」 「治った。俺が治ったって言ったら治ったんだ!」 しばらく閉じ込められていた部屋を飛び出して外の空気を吸う。ああ、酒が飲みたい煙草を吸いたい。そう羽島に言うと呆れたように息を吐いた。 「···その前に、もし、本当に治ったなら赤石を迎えに行ってやってください」 「···そうだな」 よし、と気合を入れて羽島に車を回してくるように頼む。少ししてやって来た車に乗り込み真守に何て言って謝ろうかを考えながら羽島の家に向かう。 「痛くないですか?」 「痛みなんてとっくにねえよ」 そう笑っていうと溜息をつきながら「そうですか」と少し冷たい返事。まあいいか。と窓の外をボーッと見てると「もう着きますよ」と意外にも組から家が近いことを知る。 「俺の弟達も多分、学校に行かないでいると思いますが···」 「ああ、別にいい」 「すみません」 お前の家でそこに俺が邪魔するだけのにお前が謝る必要なんてどこにもねえだろ。 車を停めてすぐに降りると羽島がこっちですって案内してくれる。それの後ろについでエレベーターに乗り込み高い階までぐんぐん上がる。 エレベーターをでて廊下を少し歩くとひとつの部屋の前で止まって「ここです。」と鍵を開けてドアを開いた。 「お邪魔します」 一応ちゃんとそう言って家に上がらせてもらう、廊下を進んでそこにあるドアを開けるとまさかの景色が広がった。 「ん、ぁ、あれ···?」 「兄貴その人誰···?」 よく似た顔をしたの金髪と銀髪の男。 銀髪は誰かを押し倒してその上に跨り、金髪は押し倒されてるそいつの手を押さえていた。 「ちょ、んっ、っ、も、退いてよ···」 「あー、もう、暴れないでよ退くから」 銀髪がそいつの上から退いてそいつは上半身だけ体を起こした。そしてこっちを振り返る。 「···あ、れ、燈人···?」 目を見開いた真守は今の状況が非常にやばいと焦ったのか双子を違う部屋に押し込んだ。 「久しぶり、ですねぇ」 「···ああ」 隣に立ってる羽島から何とも言えない雰囲気を感じる。 「赤石お前···」 「あ、羽島くん朝ぶり!」 「ああ···いや、そんなことはどうでも···」 羽島も羽島で状況が理解できないのか焦って言葉がなかなか出てこないようだ。俺は真守の腕を掴み「帰るぞ」と強く引く。 「え、燈人待ってよ」 「何だよ」 「全部終わったの?もう何にもない?俺はまだ燈人に必要とされてるの?里さんはもういいの?」 真守の口から出てくる疑問に全て頷きたいけれど今はそうできない。 「いいから、帰るぞ!!」 「は?え、なんで怒ってんの」 「チッ」 「あ、羽島くんごめんね!また後でちゃんとお礼に来るから!あと、太陽と架月は怒らないでやって!俺が頼んだだけだから!!」 羽島から車のキーをもらって家を出る。強く腕を引いてると痛い!と何度も言ってくる真守。聞いてられなくて車に押し込み、さっさと自分達の家へ向かう。 「ねえ何で怒ってんの」 「何でわかんねえんだよ」 「わかんないよ、燈人も同じことしてたくせに」 そう言われて寂しい気持ちになる。けれど本当のことだ、親父にも言われた。もし真守が新しいやつを見つけて恋人同士になっていたとしても俺にそれを咎める資格はない。 「···悪い」 「いいけどさ」 静かになる車内、お互いの息遣いだけが聞こえた。

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