次の日、里さんの墓参りに行く事になって、どんな格好で行こうと悩んでいると、紫煙をユラユラと吐いた燈人がやってきて「行けるか？」と聞いてきた。 「服」 「そんなの、あんまり気にしなくていいだろ。そのままでいいよ」 「えぇー。でも、うん···わかった、これでいいや」 緊張している様子の燈人を見たら俺の緊張がなくなる。 「お墓参りが終わったらさ、御褒美上げるね」 「何だそれ」 「誰だって頑張ったら御褒美欲しいでしょ」 「じゃあ、帰ってすぐにお前のこと抱く」 「···それが御褒美になる？いつもしてるけど」 「なる。だから、早く行こう」 燈人に腕を掴まれて部屋を出る。線香やお花は行くときにどこかに寄って買うことにしてそのまま家を出て駐車場に行き車に乗り込んだ。 「落ち着かないの？」 「あ？何で」 「ずっと煙草吸ってるから」 「···悪い」 「別にいいけど、大丈夫？手、握っててあげようか」 「そこまで子供じゃねえよ」 くつくつと喉で笑った燈人。 けど、微かに煙草を持つ手が震えてる。 「大丈夫だよ」 「···ああ」 燈人の吐いた溜息がやけに大きく聞こえた。