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第223話

家に帰って少しだけ落ち着いた後、ゆらりと突然立ち上がった燈人にまたまた優しく抱かれた。 気持ちよすぎて意識は飛んでまたすぐに戻される。そのせいでふわふわした感覚に包まれ、それが心地いいと思えた。 繋いでいる手は指を絡めあって、もう2度と離れたりしないよってそんな思いを密かにぶつける。 何度もキスをして「愛してる」って囁かれて、体も心も気持ちいいなんて、贅沢なのかなぁ。なんて思いながら「俺も」と返せば泣きそうな顔で笑った燈人に、ああ俺は本当にこの人が好きなんだ、と改めて感じた。 「あ、っ、燈人···やだ、待って···」 「悪い」 行為を終えてすぐ、俺を抱き寄せて腰当たりをスルッと撫でた燈人のせいで鼻にかかったような声が漏れた。 「ん···はぁ、ねえ、昼ご飯どうする?」 「···今、それを言うか」 「うん。だってほら、時間」 ゆっくりと壁にかかってる時計を指さすと「まだいらねえ」と俺を強く抱きしめる。燈人の肩に鼻が当たって少し痛い。けどじんわりと燈人から移動してくる熱に目を閉じる。 「これ、落ち着くね」 「どれだ?」 「こうやって、燈人の体温感じるの」 「···そうだな。俺もお前をこうやって抱きしめてる時、すごく安心する」 その言葉が嬉しくてふふっと笑って顔を上げた。どう見ても、至近距離で見ても燈人はかっこいい。そっと薄い唇にキスをすると髪を撫でられて「まだ元気なら、するか?」とニヤリ笑ってそう言う。 「無理、もう出ない」 「試してみるか?」 「試さない!」 そのまま二人でゆっくり、ぬくぬくとした時間を過ごした。

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