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第233話 燈人side
「真守、起きろ」
「んー···」
「何でここで寝てるんだよ」
朝起きたら隣に真守は居なかった。
そういえば昨日は真守が風呂に入っている間に限界が来てベッドに入ったのを覚えてる。
リビングに行けばテーブルに上半身を伏せた状態で真守が眠っていてそのすぐそばには空き缶がコロコロ転がっている。
トントンと肩を叩いて呼び掛けても置きやしないから、空き缶を片付けてから、今更だけど毛布をかけてやった。
風邪ひいてないといいけど。その後すぐに俺はコーヒーをいれてソファーに座りテレビを見る。まあ、この時間はニュースばっかりだよなぁ。と思いながらチャンネルをかえる。
「───っ、の、ねぇ···」
「あ?」
真守が何かを言った。全く聞き取れなかったけど。
起きたのか?と近くによって顔を覗けばだらしない表情をして爆睡してやがる。
「おーい」
「んん···」
「真守」
「···ん、ぅ···ぅ」
「起きろ」
鼻を摘むとだんだん眉を寄せて、少しして勢いよく目を開けた。
「おはよう」
「···おはよ、うぇ、気持ち悪···」
「はぁ?」
「はく···吐くっ」
慌ててトイレに走っていった真守。そこで嘔吐したらしく、どうやらすっきりはしていない状態で戻ってきた。
「···昨日飲みすぎたみたい」
「いつもこの程度じゃ酔わねえだろ」
「んー」
フラフラした足取りで俺のもとにやって来て抱きついてくる。背中をポンポンと撫でるとそれが気持ち悪いのか「だめだめ、出る」と俺からサッと離れて床にゴロンと寝転がる。
「薬、薬ある?」
「ねえな」
「ん゛ー···もう動けない、今日はずっとこのまま」
「バカ言うなバカ」
「···バカじゃないもん」
真守の横にしゃがみこんで「ベッド行くぞ」と腕を持つ。
動きたくないけどベッドには行きたいらしい真守はゆっくりと立ち上がって俺に連れられるまま寝室にやってきてはベッドに寝転び「死ぬのかも、俺」なんてまた変なことを言う。
「死なねえから、一回寝ろ。水飲むか?」
「うん」
返事をした真守。俺は聞こえないように小さく溜息を吐いた。
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