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第3話 求める★

 やばい、息があがる。  ただ見つめられているだけなのに、なんで身体まで熱くなるんだよ? 「漣君」 「う、あ……」  名前を呼ばれただけで心臓が跳ね上がり鼓動が早くなる。  やばい、俺……どうかなりそうだ。  どうかなってるって言えばとっくにどうかなってるけどさ、こんなの初めてだぞ。  俺は胸に手を当てて大きく息を吸いそして、ゆっくりと息を吐く。  このままじゃ暴走しそうだ。 「セーフワードを決めようか」  セーフワード?  耳慣れない言葉に俺は小さく首を傾げた。 「君が嫌だと思うことはしないから。だから嫌だ、と思うことを僕がしたら、止めてほしい、てこと」  なんだよそれ、わけわかんねえよ。 「んなこと言われても……」  この人の意図が全然分かんねえけど、俺としては早くこの渇きを何とかしてほしい。  なんでんなものを決めるのか全然分かんねえけど、とっさにそんな言葉、考えられるわけがなくって。   「……ストップ……」  と、小さく答えた。  すると、シュウさんはくすっと笑い、 「まあ、そうなるよね。違うワードの方がありがたいけどでも君が望むのならそうするよ」  と言った。  なんなんだろう。この人の物言い、何か引っかかる。  俺は、シュウさんの腕を掴み、その顔をじっと見つめて言った。 「もしかして、俺が何でこんなに渇いてるのかわかるんですか?」  するとシュウさんは、俺の唇に指を当てて微笑む。 「漣君。僕は医者じゃないから君がどういう状態なのか正確にはわからないよ。心当たりはあるけれど本当にそうなのか、確かめさせてくれるかな」 「う……」  そう言われて俺はそっと、シュウさんから手を離しゆっくりと腕を下ろした。  何なんだ、俺、この人の言葉に逆らえない……?  この状況の答えを俺は知っている。  だけどそんなの認められるわけねえだろ?  ……俺は、ノーマルだ……!  そう思った時、シュウさんの手が俺の頭に触れた。 「いい子だね、漣」 「あ……」  だからなんでいちいちちょっと褒められただけで俺、悦んでるんだよ? おかしいだろ、俺。 「今日は確かめるだけだよ、漣君。それ以上の事はしないから。正直僕もこういう状況は初めてだし。でも……間違いはないと思うんだ。だから漣君、ここに『お座り』」  言いながらシュウさんは床を示した。お座り、も何も俺はソファーに座っているんだからそんな事言う必要ねえだろ?  なのに俺の身体は勝手に動きそして、ソファーから滑り落ち床に座りシュウさんを見上げた。  何やってるんだ俺。そう思うのに身体が動かない。  床に座り込んで俺は、次の言葉を待つ。  もっと言葉がほしい。  もっと……求めてほしい。そんな欲望が俺の中で膨らんでいく。  シュウさんは目を細めて俺を見つめていて、その視線に俺はぞくり、とした。   「そんな顔されたらもっと命令したくなっちゃうね」  などと言い、シュウさんは俺に顔を近づけてくる。   「次は『服を脱いで』」  今日初めて会って、しかも相手は男だっていうのに。  俺は言われた通りTシャツを脱ぎ、下も脱いで裸になって床に座り込んだ。  やべぇ……俺のペニス超勃起してる。  恥ずかしさに俯いていると、シュウさんの声が響いた。 「漣君、『僕を見て』」  その声に俺はゆっくりと顔を上げてシュウさんを見上げた。  すると彼は微笑み俺の頭を撫でてくる。 「ちゃんと言うとおりに出来て偉いね、漣君」 「シュウ……さん……」  俺の唇から漏れ出た声は切なくて甘い声で、俺らしくない声だった。 「足、開いて見せて?」  そう言われて俺は、シュウさんから目を離さずゆっくりと足を開いて見せる。  その中心にある俺のペニスはガチガチで、先走りをだらだらと溢れさせている。 「触ってもいないのに先走りがすごいね」  恥ずかしさに目をそらしたいのに、視線を動かせない。   「自分でしてごらん。できたら『ご褒美』をあげるから」  人前でオナニーなんて恥ずかしすぎるだろうに、俺は言われた通りM字に足を開くとガチガチのペニスに手を添えてそれを上下に扱いた。 「う、あぁ……あン……」  見られてる。  オナニーしてるのを、今日初めて会った男に見られて……超興奮してる。  自然と手の動きが早くなり、声も漏れ出てしまう。 「ン……シュウ、さん……あ……ダメ、イく、イっちゃう……」 「大丈夫だよ、漣君。ここには僕しかいないし」  優しい声がそう告げ、俺の手の動きは早くなっていく。 「ねえ、漣君。僕を見ながらイきなよ?」 「う、あぁ……シュウさん、シュウ……だめ、イくからぁ……イくイく、イ……あぁ!」  俺は言われた通りシュウさんの顔を見つめながら、手の中に射精した。  なんだよこれ……ここ一ヶ月自分でやっても全然イけなかったのに。  俺が出した精液は、床にまで飛んでしまっている。  やべぇ……汚しちゃった。  焦る俺を尻目に、シュウさんはウェットティッシュで俺の手やペニスを拭い、床を拭いてそのゴミを捨てたあと、俺の方を見つめて微笑んだ。 「ちゃんと僕を見ながら……名前まで呼んでイけて偉いね」  言いながら俺の頭を撫でてくる。  なんだよ……シュウさんに褒められるたび、言葉をかけられるたびにどんどん俺は満たされていく。 「シュウさん……」 「そんな甘い声で呼ばれたら最後までしたくなっちゃうよ。でも今日はここまでだよ、漣君。確かめたかっただけだしね」  なんでだよ?  もっとしてほしいのに。  それが顔に出たのか、シュウさんは俺の頭を撫でながら言った。 「ほら、ご褒美をあげるから、僕の膝に座って?」  言われて俺はふらふらと立ちあがり、シュウさんの膝に座りその顔を見つめ、首に手を回す。  熱い。  身体も心も熱くて仕方ない。  シュウさんは俺の背中に手を回すと、顔を近づけてきてそして、唇を重ねてきた。  舌が唇を舐め、口の中に入ってくる。  やばい、くらくらする。  舌が絡まり唾液の混ざる音が卑猥に響く。  これが……ご褒美?  初対面の男にキスされて……俺、もっと欲しい、て思ってる。  自分の中に生まれた感情に戸惑いながら、俺は自分からも舌を動かして貪るように深いキスを味わった。

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