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第36話 離れない、から★
シュウさんの部屋の、シュウさんの寝室で俺は裸で床に座り込み、ベッドに座るシュウさんの言葉を待っていた。
シュウさんは今、眼鏡をかけていない。
射るような目で俺を見つめていて、背筋がゾクゾクしてしまう。
ディフェンスとかグレアとか言っていたけど、シュウさんの機嫌が悪いのはわかる。
だから帰って来るなり俺に風呂に入るように言い、出て来たらすぐに俺の中にローションと玩具をぶち込み、ペニスにリングを嵌めて、今、床に座らせているんだろう。
俺の全身にはたぶん鳥肌が立っている。
シュウさんの機嫌が悪いのが空気で伝わってくるからだ。
怖い。
でも、何をされるのかという期待も大きい。
俺に命令し、支配して甘やかせるのはシュウさんだけだ。
「なんですぐに電話に出なかったの」
言いながらシュウさんは、足の指先で俺の半勃ちになっているペニスを弄る。
「ひ、あ……あの、話、してて……」
そう答えると、中にいれられた玩具がぶるぶると震えだす。
「あぁ……!」
「そう。誰と話していたの」
「ば、バイト先の、社員さんと……あぁ!」
答えると同時に玩具の震えが強くなり、俺は声を上げて目を大きく見開いた。
やばい、中、抉られる。
「それっていつも一緒にいるあの人?」
「ひ、あ、あ、そ、そう、です……あぁ!」
視界が歪み、自然と腰が揺れて、俺は尻を床に擦り付けた。
するとさらに深く玩具が中に入り込んでくる。
「うあぁ!」
「彼は何者なの。Domじゃないみたいだけど……ノーマルにも見えないし」
「んン……あぁ……あ、む、とう、さん、は……ノーマルだって……」
そうだ、武藤さんはノーマルだ。
Domよりの、っていう注釈がつくけど。
「そうだよねぇ……それにしてはちょっと異様だけど」
言いながらシュウさんは俺のペニスを足の指で弄り回す。
「それで電話に出なかったの?」
「う、あ……む、とうさん……電車まで時間、あるからって……それで一緒に待ってて……ひぃ!」
強かった玩具の震えが急に弱くなり、俺はじっと、シュウさんを見つめた。
彼は笑って俺を見ている。
妖艶な笑みを浮かべて。
「あはは、そんな刺激じゃあ物足りないって顔してる」
そしてシュウさんは俺の頭をすっと撫でた。
「あ……」
頭を撫でられてゾクゾクとした感覚が背筋から広がり、思わず身体が震えてしまう。
「もしかしたら彼がDomで、君を連れ去られるんじゃないかと思ったらどうしようもなくなって。でも彼はDomには見えないから戸惑っていたんだよね」
「う……あ……武藤、さんはDomじゃない……あン……」
玩具の動きが少しずつ強くなっていく。
「ならいいけど……でも君みたいに目覚めるのが遅い場合もあるから、気を付けてね。特定の相手がいるSubを好んで狙うDomもいるから」
そんな趣味のやついるのかよ?
寝取られ……じゃない、寝取り趣味? やばい、頭まわんない。
「もう、しない、からぁ……ちゃんと、電話でる、からぁ……」
息を切らせながら言うと、シュウさんは俺のペニスから足を外し、
「おいで」
と言った。
俺はうずくまったままシュウさんに近づいて顔を見上げる。
すると、手を伸ばしてきて、俺の頭を抱きしめて言った。
「怖がらせてごめんね」
そして、優しく頭を撫でてくる。
さっきまでは確かに怖かったのに、今はそうでもない。
シュウさんは安心したんだろうか?
俺がいなくなるなんてことは……でもあの武藤さんの様子だとそれはありえたかもしれない。
武藤さんに連れ帰られる未来、あったかもと思うと不安になってくる。
抱き着きたい。
なのに腕は縛られたままで何にもできない。
「俺、離れない、ですから……」
言いながら耳まで熱くなるのを感じる。
なんだよこれ、プロポーズかよ?
彼は俺から離れると、微笑んで言った。
「僕も君を離す気はないから」
そして、唇が重なる。
すぐに舌が俺の唇を割り、口の中を蹂躙してくる。
あー、くらくらしてくる。
あんまりキス、しないきがするけど……キス、気持ちいい。
どれくらいキスをしていただろうか。
頭がぼうっとしてきた頃、唇が離れシュウさんは言った。
「それじゃあ、漣。続きをしようか」
その言葉に俺は、息を飲み頷いた。
やった……続き、してもらえるんだ。
「四つん這いになって、僕に全部『さらけ出して』」
言われて俺は、シュウさんに背を向けて頭を床に付け、尻を突きだす。
手を拘束されたままだから、この姿勢はちょっと辛い。
シュウさんは玩具を手にすると、それをぐい、と押し込んだ。
「あぁ!」
同時に玩具の震えが大きくなり、モーター音が聞こえてくる。
「腰が揺れて、先走りが溢れてるね。漣。僕がいい、って言うまで我慢しなよ? 言うとおりにできたらご褒美あげるから」
そしてシュウさんは玩具の出し入れを始めた。
グチュグチュ、と音が響き玩具が俺の内壁を、前立腺を刺激してくる。その度に俺の視界に星が散り、頭が真っ白になっていた。
やばい、口から唾液が流れてる。
口閉じらんねえよ……
「う、あ、あ、いい、それ、いいよぉ」
「それってどれ? 前立腺? それとも、奥?」
「あぁ!」
玩具が深く差し込まれ、膝ががくがくと震えだす。
まだイけない。我慢しないと駄目なのに、シュウさんは意地悪く俺のいいところを突いてくる。
「んン……あ、あ、あ、奥、開いちゃうよぉ」
「その為に買ったやつだからね。おいしそうに飲み込んで涎だらだら流してるよ、漣の後ろの口」
「あぁ!」
やばい、このままじゃあイっちゃう。
「ほら、ご褒美欲しいでしょ? もう少し我慢して、漣」
シュウさんは玩具をぎりぎりまで引き抜き、一気に押し込んでくる。
だからそれはやばいのに……
腰が揺れて止まんないし、快楽の波がひっきりなしに押し寄せてきて俺の思考を飲み込もうとしてくる。
「秋星、さぁん……」
自分でもひくくらい甘い声で名前を呼ぶと、シュウさんは玩具の動きを早めて言った。
「いいよ、イって」
その言葉を聞いて、俺は腰を振りびくん、と身体を震わせながら達してしまった。
「ひ、あ、あ、あぁ!」
やばい、イくの止まんないかも。
でも射精できないからペニスも玉もパンパンになってることだろう。
シュウさんは焦らして焦らしてイかせるのが好きらしい。
そして俺も、焦らされてイかされるのは半端なく気持ちいいから気に入っていた。
でもこれ、頭おかしくなる。
ぐったりとしていると玩具が引き抜かれ、手が尻を撫でまわした。
「頑張ったね、漣」
そして手の拘束がとかれ、身体が抱き起こされてシュウさんと視線が絡む。
彼は優しい笑みを浮かべて俺の頬を撫でながら言った。
「約束通り、ご褒美をあげる」
ご褒美……
嬉しさに俺は、笑って頷いた。
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