20 / 47
20.
全く、もうとため息を吐いた。
「だから、あの時言ったじゃん。玄一、そこまで成績は良くないんだから、僕の病気のことは後回しにしなって」
「だってさ、お前があまりにも落ち込むし、尋常じゃない腹痛を見て、産む度にあんなんじゃ嫌だろって思って、少しでも原因を見つけたいと思ったんだよ」
怒っているように吐き捨てた。
しかし、それはいつものような面白半分で言っているものでもなく、真剣そのもののように見え、そうだと思った瞬間、胸がぎゅうとなった。
あ、この感覚は求めていたもの。
「志朗、今のでときめいたのか?」
「あ⋯⋯まあ、少し⋯⋯」
「えっ、マジ!? 今の感じでときめくの! どの瞬間でときめいた?」
急いでさっきのノートを取り出し、きらきらした目を見せる。
「どんなって、それは⋯⋯」
「それは?」
「⋯⋯自分で言ったことから分析して」
「自分で言った⋯⋯って、え? 俺が言ったこと⋯⋯」
目線を上げ、考えている仕草をして少し経った後。
「⋯⋯全部?」
小さく頷く。
「全部ね。え〜〜っと⋯⋯。⋯⋯俺、何て言ったっけ?」
これ以上にないほど目を大きく開いた。
「え、なんで自分で言ったことを覚えてないのっ!?」
「いやぁ〜勢い任せだし? 頭であれこれ考えるより、バッと言った方がいいことが言えるかもってな。実際、お前はときめいたじゃん」
「うん、まあ⋯⋯」
雑な理由でよくあんなことが言えたなと思ったが、それはそれで彼らしい。
「てなわけで、志朗。ときめいたお前なら覚えているだろ? 代わりに書いてくれ」
そう言って、何も書かれてないページをこちらに向けた。
ともだちにシェアしよう!