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28.※産卵

どうしよう。 このまま躊躇していたら、確実に卵詰まりのリスクが高まる。 だから、躊躇している場合ではないが、肛門が裂けてしまうのではと不安が募る。 しかし、そう悩んでいる間も腹痛は治まらない。 ならば、腹を括るしかない。 「ふ⋯⋯っ! ん⋯⋯っ」 やや強引に卵を捻り出す。 小刻みに震え、裂けそうな肛門の痛みを、咄嗟にシーツを掴んで耐えようとした。 「あぁ⋯⋯ッ、ふぅ、ん⋯⋯ッ!」 少しずつ出てきている。 この調子でいけば出てきてくれる。 短い息を繰り返し、一気に力む。 掴む手にも力が入り、肛門とも腹痛とも同様で、僅かでも気を張ってないと意識を失ってしまいそうになる。 けれども、涙を零すほどに痛い。 「ふぅ⋯⋯ッ、ひ⋯⋯ぃ⋯⋯」 こうなってくると、自分が何か天罰を下るほどのことをしてしまったのかと思ってしまう。 そんな非現実的なことを考えないと、それこそ非現実なことが起きているこの状況を無理やりにでも受け入れざるを得ない。 「ふ⋯⋯ぁ、ん⋯⋯ッ、あぁ⋯⋯っ」 いつも産んでいる鶏のような卵ならば、幅の広い部分が通過すれば、あとは楽に出てくれるはず。 「あ⋯⋯ぁ、はぅ、ふ⋯⋯っ」 あと少し⋯⋯。 「んん⋯⋯ッ! ⋯⋯ふぅ⋯⋯っ」 頑張れば⋯⋯! 「ふっ、んー⋯⋯ッ!」 ずるっと、驚くぐらいすんなりと産み落とされた。 肛門のヒリヒリとした痛みを感じながらも、ヒクつかせ、形容しがたい感覚を味わっていた。 何はともあれ無事に産めて良かった。 耐え難い腹痛から解放されたのもあり、一気に疲労感を覚えた藤田はベッドに身を預けていた。 そのうちウトウトし始めたのち、眠りの海へと漂ったのであった。

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