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33.
頭がガンガンする。体が鉛のように重い。
ぼんやりとする意識の中、脇に挟んでいた検温計が軽快な音を立てたので、それを取って、見てみた。
38度。
完全なる熱だ。
昨日、過ごしやすい気温であるはずなのにどことなく寒気を覚えていた。気持ちのよい気温とはいえども、ふとした時は肌寒く感じる時があるから、それだろうと特に気にしていなかったが、今朝急に身体の節々も痛く感じた結果、これだ。
卵を産んで、汗びっしょりとかいたのにも関わらず、疲労困憊で寝落ちしてしまったのが原因なのだろうか。
何はともあれ、今日は学校には行けない。
友人に熱があるから欠席する旨をメッセージアプリで、思考が定まらない中どうにか伝えると、アプリを閉じた。
「⋯⋯⋯⋯はぁ」
天井に向かって、重たい息を吐いた。
とりあえず、氷枕だけは用意したいが、それすらやる気が湧いてこない。
一人暮らしだと、こういう時困る。
医者にも行かないといけないし、処方して貰ったら、一口でもいいから何か胃に入れて、薬を飲んで安静にしていたい。が、息を吐くことすら億劫なこの状況で、何もやる気がない。
こんな時、黄丹がいてくれたら。
無意識に思ったことにハッとする。
なんでこんな時に自分を痛めつけるような相手を思い出すのだろう。
第一、あれからずっと黄丹とは口を利いていないし、気まずい間柄となってしまったのだから、こんな時にだけ来て欲しいと思うだなんて虫が良すぎる。
目が合うだけでも、胸が苦しく思えるのに。
けど、その嫌な気持ちが湧き出るのと同時にある気持ちが零れた。
「⋯⋯会いたい」
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