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「けどさ、そういう想いが強すぎて卵を産んでしまうほど、俺のことを想っていたっていう考え方もできるよな」
身体がピシッと固まる。
「そのぐらい俺のことが魅力的だと思っている志朗の気持ちに、答えてあげないとな」
「⋯⋯いや、答えなくても。困るでしょ」
「なんで? 誰よりも俺のことを分かっているお前のことを分かってあげたいんだわ。嫌なのか?」
「⋯⋯嫌、なんて⋯⋯」
そんなはずがない。むしろ、胸から溢れそうになるくらいの嬉しい気持ちになり、この気持ちを押さえて欲しいと思うくらいだ。
「⋯⋯拒絶、されると思ってた。⋯⋯男が男を好きになるなんて、普通は気持ち悪がられるから」
「最初はびっくりしたわ。けど、たまたま俺のことを好きになったぐらいだなと思ったら、すんなりと受け入れたな」
「⋯⋯熱、の時に見る、夢⋯⋯かな。覚めたら、なかったことに⋯⋯なんて」
「だとしたら、現実だって分からせるために、志朗をめいっぱい可愛がってあげないとな!」
歯を見せて笑う黄丹に、つられて小さく笑っていた。
「治ったら、どっかに行くのもいいよな。水族館? 映画館? 動物園とか?」
「⋯⋯いいね。恋人らしい」
「だろう? 考えるだけでも楽しいな。志朗と一緒なら、どこでも楽しそうだな」
「⋯⋯それは僕もだよ」
水族館に行ったら、あの魚は美味そうだの、それは魚に失礼じゃないのと苦笑したり、映画館に行ったら、直感で面白そうだと観た映画がスプラッタもので、誰よりも悲鳴を上げる黄丹に、驚いてしまったり、動物園に行ったら、ふれあいコーナーにいるヒヨコを指差して、お前が頑張って産んだヤツらが元気にしてるぞと冗談で言う黄丹に、思いきり叩いたり。
どこに行っても、黄丹が隣にいて、無邪気に笑っている。
幸せでどうにかなってしまいそうだ。
「おやすみ」と言う黄丹の静かな声を遠くに聞きながら、望んでいた願望に浸るのであった。
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