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そして、現在に至る。赤坂くんを家まで送ったのは、もちろん夜遅いからという理由もあるけど、1番はやっぱり俺の下心だろうな。 あの時……車の中で眠る彼を見て、俺の理性が危うく飛ぶところだった。いつもはキリッとした顔つきなのに、その時は子供のような寝顔を見せていた。 「無防備すぎるだろ……」 家の近くまでとっくに着いていたけど、少しだけそっとしていた。気持ちよさそうに眠る彼を起こしたくなかった……いやそれだけじゃない。俺の中の悪魔が囁いていたんだ。 シートベルトを外し、助手席にいる赤坂くんに体を近づける。彼は起きない。自然と手が彼の髪に触れる。何の痛みもない柔らかい髪。若い証拠だ。その髪にそっと唇を寄せた。 静かに寝息を立てる赤坂くん。赤い唇はまるで俺を誘っているようだった。徐々に近づく唇と唇。彼の綺麗な顔立ちがより鮮明になる。 唇が触れ合う寸前で、我に返る。何やってるんだ、俺は……。彼は男……しかも生徒だぞ……。こんなことしちゃだめだ。思いとどまりながらも、せめてもの想いで焦げ茶色の髪を撫でていた。 「んっ…………」 すると、小さな吐息を吐いて彼が目覚めた。心臓が跳ね上がる。しかし、彼は何も気づいていないようだった。 平然を装い、彼を見届けた。全く大人気ないやつだな、俺は。車から離れていく背中が、和臣の後ろ姿とひとつに合わさった。

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