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第5話 ※
三年生になって僕と優はクラスが離れたが、学校の帰りと休日は変わらず勉強をしたり優の家で映画を観ていた。
ケンカが強く不良の赤城優也と一緒にいることが多かったからか、三年になった今のクラスでは、僕に声をかけてくる人はいない。
「おい、亮太。…りょーた!」
「え?あっ…また寝てた。ごめん」
昨日、進路について両親との話し合いが長引いてしまった。その為、寝るのも遅くなり、こうして優の家で勉強をしてる最中に何度も居眠りをしているのだ。
「今日はここまでにするか?」
「う〜ん…そうしようかな。僕がこんな状態だと優も集中できないよね」
「いや、俺のことは気にしなくてもいいけど、お前が辛そうだから」
「… 昨日さ、進路について親と話してて、それが長引いて…」
「大学、反対されてんの?」
「大学は大丈夫なんだけど、東京の大学に学びたい学科があってさ、それ…」
「待て待て待て!東京?こっちの大学じゃねーのかよ?」
「うん。こっちで優と同じ大学だったら楽しいだろうけど…やっぱり将来のこと考えると東京の大学がいいかなって…」
「そっか…そっか…」
「まぁーでも、智樹くんも同じ大学受験するんだよね?」
「あぁ…」
「だったらいいじゃない。そんなに落ち込まないでよ」
「うるせーよ」
「離れても僕たち何も変わらないでしょ?」
「そんなの分からないだろ?」
「僕は変わらないよ」
「……。」
「今日は帰るけど、また来てもいい?」
「あぁ…」
本当に悩んだんだ…優と離れたくないって。多分、僕は優のことが好きなんだと思う。喧嘩も強いし誰もが認める不良なのに、僕には最初から優しかった。いつも対等でいさせてくれたし、たまにからかっても笑って許してくれる。もしこの気持ちを伝えたら優はどうするだろう…優しいから受け止めてくれる?それとも、男の僕が男を好きって…引くかな。どちらにしても、恋愛経験の無い僕には伝える勇気もないし、今の関係が一番いいに決まっている。僕は自分の気持ちに蓋をして、優に対して深く考えないようにしていた。
相変わらず、優の家で勉強をしたり映画を観たりしている。今日は映画を観てゆっくり過ごす日だ。そろそろ本腰入れて勉強しないといけないのは分かっているが、この時間は僕のメンタルを安定させるためには必要な時間なのだ。
優の部屋のソファーは大きくて僕たち二人が横になっても大丈夫なくらいの大きさだ。
「優もこっちで横になって観る?座ってるより楽だから。」
「あー、じゃあ一回横になって観てみようかな」
「ん。じゃー今日はこれでも観るか?」
「恋愛系?たまには、そう言うのもいいね。」
ソファーの背もたれに側に優、優の前に僕。腕が痺れるとか何とか言って僕の首のところに腕を入れ込んできた。所謂、腕枕だ。内心は緊張したが、あまり意識せず気にしないフリをした。
緊張も映画を観ている内に和らぎ本当に気にならなくなっていた。
ただ、喧嘩でできた手の傷は痛々しく残っている。そちらには目がいってしょうがなかった。
「いやー最後、ハッピーエンドで終わって良かったね。途中ハラハラしちゃったけど、遠距離や親の反対とか運命の二人だったら乗り越えられるんだねー…」
言いながら振り向くと、優の顔が僕を見つめながら近づいてくる。
「え?ちょっちょっと優!」
「嫌だったら本気で抵抗して」
「んん…はっゆ、う」
「亮太」
「はぁっゆう…嫌だってば…」
「亮太」
「んんっはっあ」
「亮太…嫌だ?」
「…… 。」
最初は啄むような口付けから何度も角度を変え唇を吸われたり甘噛みされると頭が痺れて惚けてしまう。
無意識に優のシャツを握り締めていた手をシャツから離され指を絡めて繋いでくれた。
「亮太…はぁ。」
優も僕と同じ様に気持ちいいの?頭の中でグルグル考える。何でキスするの?
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