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第24話

正月休みで実家に帰った時、颯が話そうと言ってきた。 と言っても、僕は筆談だけど。 「俺もさ大学出たら東京に行こうかと思ってんだよね」 『本気か?』 「本気だよ。でさ、亮兄の家に少しの間住まわせてくんない?」 『無理』 「即答かよ!良いじゃん!一人で住むには広すぎだろ?」 『無理』 「んだよ、もしかして出て行ったあいつが戻ってくるかもとか思ってんの?ないない、何年経ってると思ってんだよ」 『お前に関係ない』 「てか、何で別れたの?俺がゲイだって言ったから?」 『……』 「やっぱりなーそんなことだと思ったよ」 『……』 「俺のせいだな」 『違う、関係ない」 「じゃあ、何で亮兄の家で会った日から、そんなに変わっちゃったの?痩せて声まで出せなくて…アイツもいない!」 『……』 「……何とか言えよ!何で亮兄だけがそんなに傷ついてんだよ!何が原因か知らねーけど、俺がゲイだって言ったことで何かあったんだろ?」 最初は穏やかに話していた颯太も声を荒げる。そんな颯太をジッと見つめノートに書いていく 『俺が悪いんだよ。俺が自分のことしか考えなかったから…お前のせいじゃない』 「だから…なんでっ…」 僕がこんな風になって颯太も自分を責め悩んでいたのかと思うとこれ以上黙っていることは出来なかった。 『俺は優が好きで、他の人を好きになったことがないから分からないけど元々は女の子が恋愛対象なんだと思う。』 「……」 『だけど、颯がゲイだって言った日からお父さんとお母さんに孫の顔は見せられないと思うと、自分がどうしたらいいのか分からなくなって、、痩せたのはその時くらいから食欲がなくなって…』 「もしかして、それが原因であいつと別れたの?」 いつも持ち歩いている、優からのあの日の手紙を見せた。読んでもらった方が早いと思ったからだ。黙って読んでいたが途中から颯は泣いていた。 「そんな理由で別れてんじゃねーよ」 『……』 「大体なんだよ!孫孫って!」 『だって、ウチの親は子供が大好きだろ?』 「…それ、本気で言ってんの?」 『颯はゲイだから、僕が、、』 書いてるところを取られた 「ちょっと来て」 ぐいっと手を引っ張って両親のいるリビングに連れてこられた。そして、あろうことか颯太は両親に言う 「俺、恋人できた」 「!?!?」 いきなり何を言うのかと思ったけど、両親の反応が… 母「あらーよかったじゃないのー」 父「どんな子なんだ?」 颯「年上で可愛い人」 母「芸能人で言ったら誰ににてるの?笑」 颯「芸能人にはいないけどイケメンだよ」 母「イケメン!今度連れてきなさいよ!」 父「瞳はイケメンが好きだな」 颯「イケメンと言えば、亮兄の元彼もスゲーイケメンだったんだよなー」 僕「!?」 母「あら、何で教えてくれないのよー」 父「思春期の子が好きな子の話なんて親にはしないだろー」 颯がしたり顔で見てくるが、僕は驚き過ぎて一人あたふたしてドキドキしてる。 母「何だ亮ちゃんもイケメン好きなのね」 僕「え、あ、うん。す、す、すごくイケメンだったけど別れちゃって…」 みんな「!!!!!」 僕「声…」 両親が泣きながら抱きしめてくれた。僕も泣いて。 颯太だけが得意げに言う。 「ウチの親舐めんなよ!ウチの親は亮兄と俺のことが大好きなの!!」 「そうだな!」 両親はキョトンとしていたが、これまでのことを久しぶりに声出したし上手くまとまらないけど、ゆっくり時間をかけて話す僕の話を最後まで真剣に聞いてくれた。 母「亮ちゃん、颯ちゃんもちゃんと聞きなさい。私たちはあなた達が幸せならそれでいいの。男が好きでもいい、人を好きになることは素晴らしいことよ。どんどん恋愛をして傷ついても立ち上がる強さと相手を守る優しさを身につけて誰よりも幸せになりなさい」 父「そうだ。人に何を言われても私達家族は味方だから決して一人だと思わないでくれ」 僕「父さん、母さん…ありがとう」 父「ところでだ、亮ちゃんは抱く方なのか?それとも抱かれるほうなのか?」 僕「え?それ言わなきゃダメなの?///」 颯「俺は抱く方」 父「お前は知ってるからいいの。亮ちゃんは?」 僕「抱かれる方…」 父「そうか…ふふ」 僕「な、何?気持ち悪いんだけど」 母「亮(とおる)さんたら、妄想が膨らんでるのよ 笑」 僕「妄想?」 母「お嫁にくださいって挨拶に来たら一度は断るそう よ 笑」 僕「お嫁って…僕、彼とは別れたから…」 母「捕まえてらしゃい!そのイケメンくんを!ボサっとしない!」 僕「もう無理だから…三年も連絡とってない」 父「やるだけやってみなきゃ後悔するぞ」 颯「そうそう。未練タラタラで何言ってんだか…」 これまでの悩みがぽろぽろと落ち何だか心が軽くなった。 とりあえず、今出来ること、、智樹くんに電話をかけた。

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