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第26話

自分のことが理解できない。だけど、一度してしまえばもう我慢は出来ない。いや、我慢している方だと自分で正当化する。あの日、飲み過ぎて亮太の部屋に忍び込んでキスをして慌てて帰った日から、数日おきに忍び込んではキスだけして帰るを繰り返していた。そんな時、いつものように忍び込んでリビングのドアに手をかけた時、中から喘ぐ声が聞こえてきた。驚きのあまり鍵を落としてしまったが急いで拾い走って逃げた。もう、あの部屋へは行けない…顔は見られてないけど俺だと絶対にバレてる。黙ってコソコソせずに堂々と会いに行けばよかったのに…今更後悔してもどうしようもない。本当なら明日休みの今日は少し長めに亮太の寝顔を見ていられるはずだったのに…まだそんなことを思っている自分に呆れる。タラタラ歩きながら帰ると自宅の入口に人が寄りかかっていた。人の家の前で誰だ?と思っていると、今一番会いたくない人物だった。 「亮太?なんで…」 「こんな夜中に智樹くんに電話したから今度奢れ!って言われちゃった」 「いや、何でいんの?」 「先に、優が来てくれたんじゃん」 「いや、それは…」 「何で黙って逃げたの?」 「……」 「僕に会いに来てくれたんじゃないの?」 「……」 「夜中だし、、部屋に入れてくれると嬉しいんだけど…」 「中はダメ、近くに公園があるからそこで話そう」 「……うん」 二人で公園へ行った。 「勝手に入って悪かった」 「鍵渡してるし、それはいいんだけど…どうして逃げたの?」 「入ろうとしたらお楽しみ中だったから…邪魔しちゃ悪いと思ってよ…」 「邪魔ってなに?一人でしてたから引いちゃった?」 「?一人?」 「うん…一人でしてた…。最近、優とキスしてる夢をよく見るから…その、、つい…」 「お前、、そんな嘘つかなくても…誰とヤってるかは見てないけど一人でしててあんな声出ないだろ…普通…」 「…普通じゃないよ…優とヤった気持ちいいこと思い出して、優が触るように触って…一人でするのも久々だったからめちゃくちゃ興奮して、いつもは優のこと考えないようにしてるけど今日のあの時は優のことだけ考えてっ…っう…」 「もういい…泣くな」 「よくないっっ何で来たの?」 「…別に……」 「優のバカ!期待させないでよ!!」 「……悪かった。もう行かないから…」 「なっ何で…そうなるんだよ…もう期待しちゃったじゃん…こんなところまで追いかけて来て、、バカみたい…」 「……」 「もういい…終わりにする…」 「何を…?俺たちは既に終わってただろ?」 「そうだね…優が、、優が勝手に終わらせた…だけど、今日まで僕の気持ちは優しか思ってなかった、、それも、もう終わりにするよ…」 「ちょっと待てよ!亮太!」 歩き出した僕の腕を掴んで離さない。暴れる僕を今度は抱きしめる。 「そうやって…また期待させて…僕をどうしたいんだよ、、」 「……」 「離して…優」 「嫌だ…もう無理…」 「部屋に恋人が待ってるんじゃないの?だから入れなかったんでしょ?」 「違う…」 「もういいよ…何もかも終わりに…」 「嫌だ!」 「優…どうしたいの?」 「亮太、家族と俺だったら…俺を選んでくれるか?」 「……?優?」 「お前は両親に孫を見せてあげられないって悲しんでた…だけど!もし家族より俺を選んでくれるなら、、」 「優!どうしてそうなるの?!どちらか選べなんて僕には無理だよ、、僕はお父さんお母さんに大切に育てられたんだ…っ」 優から抱きしめる力が抜けた… 「そうだよな…悪い…」 「優?」 「大切に育てられなかった俺には到底そこら辺の理解ができねー」 「優…待って」 歩いて行こうとする優を今度は亮太が引き止める。 「俺はお前だけでいい!!お前だけ!傍にいてくれればそれでいいんだよ!だけど、お前は家族も大事だろ?家族を思って傷ついてるお前を俺はどうやって支えればいいのか分からない…終わりだ…」 「優!今度!今度僕の家族にあって欲しい!」 「は?さっきの聞いてたか?」 これまでに見せたことのない鋭い目つきで亮太を睨みつける。それでも、亮太は離さない。痩せ細った身体で優を必死で抱きしめて離さない。 「家族か優かなんて選べない!だけど、僕は欲張りだから家族も優も諦めたくない!……優はもう僕のこと嫌い?」 嫌いなわけがない。ガリガリの身体で必死に抱きしめてくる亮太を半ば諦めたように抱きしめ返した。 「んな訳ねーだろ…反対されたらどうすんだよ…」 「その時に考える。だけど、絶対どっちも諦めないから…優もいなくならないで……っ」 「…あぁ。悪かった」 「でも…優…恋人が、、」 「んなモンいねーよ!そんなフリでもしなきゃやってらんねーつーの!」 「じゃあ、何で部屋に入れてくれなかったの!」 「今から来い」 部屋に入るなり抱きしめてキスの嵐だ。 「部屋に入れたら歯止め効かねーだろ?」 「優のバカ!///」

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