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第11話 こうかん

「はい?」  なんかが耳の中を通過していった。  まじまじとせい兄ちゃんの顔を眺めて首を傾げたら、ものすごく普通の顔でせい兄ちゃんがもう一回言った。 「ノタ、好き。抱いていい?」 「いきなりそこ?」 「それくらい好きって、主張しないと伝わらないだろ。っていうか、さっきも同じこと聞いたら同意してくれたから、今ここでこの状態なんだけどね」 「ぅぇええ……?」    オレ、同意したの?  しちゃったわけ?  なかったことにしてたのに?   「居酒屋で『なかったことにしてたけど、しなくていいの?』って、ノタがおれにくっついて離れなくなったから、翔太は帰ったんだよ」 「それ、あとで怖いやつ……」 「怒ってはなかったと思うな」    せい兄ちゃんの顔が近づいてきて、ちゅって唇が触れた。   「大事にする。だから、おれにちょうだい」 「……ちゃんと、大事にしてくれるなら、いいよ」  なんかもう色々とやけくそになって、そう言った。  だって、相手はせい兄ちゃんだ。  今までなかったことにしてたくらい好きな人なんだよ。  だから、もう、いいやって思ったんだ。  せい兄ちゃんだから、いいよって。    成人してるし。  別に初めてでもないし。  体をつないだからってどうなるわけでもないって、身に染みてわかってる。  それでどうにかなっちゃうんなら、オレはもうとっくにせい兄ちゃんを忘れてる。  一生懸命なかったことになんてしてない。  なのに、せい兄ちゃんは優しい。  ものすごく丁寧に、オレの身体を拓いていく。  指で、舌で、唇で。  舐めてつまんでかじってつねって撫でて抑えて。  息が上がる。  さっきのアルコールが残ってるんだ、きっと。  乳首がじんじんするくらい、せい兄ちゃんが唇で愛でる。  その間にオレの中が変わっていく。  せい兄ちゃんの指で変えられていく。   「ン……んぁ、あ、や……ゃあ……」 「ノタ、かわいいな……ほらたれてる、だらだら……」 「や、言うな……あっああ、せい兄ちゃん……アツい……」  触れたせい兄ちゃんはカチカチですげえ硬くってびっくりするほど熱くって、オレが欲しいんだなってものすごくわかって嬉しくなった。 「も、ちょうだい……これ、ちょうだ……ああ、あ…ん、ん」 「いたずらは止めような、ノタ……暴発しちゃうだろ……」 「あああっ……指だけじゃ、やだ……や……」    せい兄ちゃんの先っぽが、受け入れるところにキスをする。  ゆるゆると確認するように触って、それから、ぐうううって入り込んできた。  アツい塊。  オレの。 「ぅあああ……あっ……あ、いい……」 「めっちゃ気持ちい……ノタ、ノタ……春海…おれの……」 「せいにいちゃ……ああ、あっ、あン……して、もっとして……すき」 「うん。ノタ、好きだよ……もっと言って。おれを欲しがって」  せい兄ちゃんはすごかった。  入り込まれてゆすられて、自分がバラバラになって、でも、せい兄ちゃんがぎゅうって抱いて留めてくれた。    そんな感じの、セックス。  初めて意識が跳んだ。  怖くて、幸せだった。

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