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新しい出会い 3

さすがは問題児ばかりを集めたクラスと言うべきか。ガラの悪い奴が多く、不満そうな視線が突き刺さる。 だが、先ほどの一件で本能的にヤバいと感じたのか、文句や野次が飛んでくることは無さそうで、玲旺は教頭へ視線を向けると営業スマイルを貼り付かせて言った。 「教頭先生。もう大丈夫そうですので戻ってて下さい」 「あ、ハイ! あの……くれぐれも暴力は……」 「嫌だなぁ。暴力だなんてそんな事僕がするわけ無いじゃないですか」 「さっきめっちゃ殺気立って亮雅の顎掴んでたの誰だよ」 小さなヒソヒソ声は無視して教頭に向かってニッコリと微笑むと、早く出て行けと言う気持ちが伝わったのか、教頭の顔がみるみると青くなっていく。 「と、とにかく! 問題だけは起こさないようにしてくださいよ!」 失礼しますと脱兎のごとく教室を出て行く教頭を見送り、怜旺は再び生徒へと向き直った。 「ハイハイ。わかってますって。……こんなサルどもに暴力的支配なんて必要ないんだよ……」 誰にも聞こえない位の声で呟いたつもりだったが、一番前に居た数人には聞こえてしまっていたらしい。目が合うとサッと逸らされてしまった。 「……僕が此処に呼ばれた目的はお前ら全員を制あ――ゴホン。更生させて、一人も留年者を出すことなくちゃんと進級させることだ。徹底的にやるから覚悟しておけよ?」 そう宣言すると、生徒たちがざわつき始める。だが、もう誰も反論や野次を飛ばしてこようとはしない。 (なんだ、ちょっと圧掛けただけなのにチョロすぎないか?) 前任が鬱になり、ベテラン勢は誰もこのクラスの担任になりたがらないと聞いていたから、どんなもんかと思ったが拍子抜けもいいところである。 多少イキってそうな生徒は何人か居るようだが、所詮は高校生レベル。この程度ならたいしたことは無いなと内心ほくそ笑みながら、怜旺は授業の準備に取り掛かった。 「じゃぁ、一限目からこのまま授業始めるからさっさと席に着けよ。32ページを開いて……」 何処からともなく舌打ちをする音が聞こえてきたが、反論が返って来ることは無く、先ほどまで違う場所に居た数人が席に戻る。素直に従う様子を見て怜旺は満足げに笑みを浮かべると、チョークを手に取った。

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