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新たな出会い 7
「あれ? 獅子谷センセ。もしかして彼女とデートっすか?」
背後から声をかけられ振り向けば、そこには自分より15cm程背の高い、細身で典型的なスポーツマン体形の男が立っていた。
どうしてこの学校には長身ばかりが揃っているんだ。舌打ちしたいのを堪えつつ、怜旺は笑顔を取り繕う。
「いや、そういう訳では……」
「またまたぁ。隠さなくても良いっすよ。前髪で隠れててぱっと見じゃわからなかったけど、意外とイケメンじゃないですか。居るんでしょう? 恋人の一人や二人」
「おいコラ和樹! 失礼だろうが!」
「イテッ! 痛いよ。マッスー」
ゴツンと拳を頭に落とされて涙目になっているこの男は確か、鷲野と言ったか。
この学校で一番若い、新卒ホヤホヤのペーぺー教師だ。 隣で怒っているコイツも意外と大きい。
180近く……いや、恐らくそれ以上はあるのではないだろうか。
長身の男に囲まれると、嫌でも自分が小柄に感じてしまう。怜旺は心の中で盛大に舌打ちをした。
「すみません。獅子谷先生。コイツ礼儀がなって無くて。でも、悪い奴じゃないんで多めに見てやってくれませんか」
「僕は別に構いません。それより……すみません。せっかく計画を立てて下さったのに」
「いいんですよ。急に誘ったこっちにも非があるし。俺はもう少し経ってからって言ったんですがどうしても和樹がやりたいってきかないもので」
困ったように眉を下げたマッスーと呼ばれた教師に、怜旺は思わず苦笑する。 この二人は同僚と言うより子供と保護者のような関係だろうか。
年齢は離れていそうだが、仲の良い友人のようにも見えるその光景は微笑ましくもあり、その雰囲気がこの職場全体の空気の良さを表しているようにも思えた。
「で? 獅子谷センセーの彼女ってどんな人? やっぱ美人なんっすか?」
「なんで恋人とデートする前提なんだ馬鹿!」
「えーっ、だって初日から用事作るなんてさ、絶対デートっしょ」
絶対そうだと決めつけてくるあたり、この男は相当思い込みが激しいようだ。可愛い恋人とデートだったらどんなにいいだろうか。
「残念だけど、デートじゃない。ちょっと、どうしても行かなきゃいけない所があって。もしよかったらまた今度誘ってください」
「そっかー。それは残念。じゃあ、また今度にします」
あっさり引き下がったところを見ると、あまりしつこく聞いてくるタイプでは無いらしい。深く追及されなくて良かったと怜旺はホッと胸を撫で下ろした。
だって、言えるわけがない。学校が終わってから自分が何をしているのか、なんて。
とてもじゃないがこの平和ボケした彼らには教えられるわけがない――。
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