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提案3

圭斗はキッと睨み付けた怜旺を見てニヤリと口角を上げるとじりじりと間合いを詰めて来る。 「やっぱりいいな。その顔……。ぐちゃぐちゃになるくらい、蕩けさせて啼かせたくなる」 冷たい笑みを湛えたままいきなり顎を掴んで上向かされる。至近距離で目が合うと、背筋をゾクリとしたものが駆け上がり、咄嗟に顎を引いて距離を取った。 だがそんな行動もお見通しだったのか喉で笑うと唇を寄せて低い声が耳元に息を吹きかけるようにねっとりと甘い声で言葉を続けた。 「――取引しようぜ、センセ」 「取引、だと?」 一体なにを考えているのか行動が読めなくて、つい身構えてしまう。何を言われても信用出来るわけがないのに、圭斗はたいして意に介した風も無く人好きしそうな酷薄そうな笑みをこちらに向けて来る。 「今日から俺の命令に従え。その代わり、今日あった出来事は誰にも言わないでおいてやる。勿論、亮雅にも俺がいいって言うまで誰にも言うなと口止めしてる」 「ふざけるな! そんな条件飲めるかっ!!」 思わず声を荒げて拒絶するが、圭斗はそれを愉しそうに眺めくくっと肩で小さく笑った。 「じゃあ、アンタの秘密を学校にバラすけど、それでも良いってことだよな?」 「なっ!?」 「男二人相手に股開いて善がりまくってましたって、学校中に言いふらされたら恥ずかしくて学校来れるどころじゃねぇよなぁ? それどころか、教師クビじゃね? 俺は別にそれでも困らないから構わねぇけど?」 更に伸ばした手が、再び顎を掴んだ。そのまま上向かされて怜旺の顔が苦痛に歪む。 キッときつく睨み付けても効果は薄く、笑みを浮かべたまま圭斗は怜旺の身体に手を這わせてきた。

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