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提案 4

「さ、触るなっ!」 何とか圭斗から逃れようと、勢い込んで掴みかかる。しかし、その手は直ぐに目の前の男にガッチリと掴まれて阻止されてしまった。 「……さっき、アンタが犯されてる所、動画に残してないなんて、誰が言った?」 その一言で、怜旺は凍り付いた。掴まれた手を引き寄せるようにして近づくと、圭斗は耳元に唇を寄せ、悪魔のような低い声でゆっくりと囁いた。 「アンタに拒否権なんて無いんだよ。いい加減諦めろ」 「クッ……!!」 本当に撮影していたかどうかなんて、怜旺にはわからない。だが、証拠が残されているのが本当ならば、データを消してもらう以外に道はない。 例え、この場で圭斗を倒してデータを奪う事が出来たとしても、万が一此処には居ない亮雅が持っていたとしたら根本的な解決にはならない。 駄目だ八方塞がりじゃないか。 「……どうすればいいのか、賢いアンタならわかんだろう?」 圭斗は勝ち誇ったような表情を浮かべながら、怜旺の頬を撫でた。どんなに頭でシュミレーションしてみても残された道は一つしかないと悟り、唇をきつく噛みしめながら怜旺は全身の力を抜いた。 「……好きにしろよ」 「フッ。交渉成立だな。流石センセ。物分かりが良くて助かるよ」 なにが交渉だ! こんなものは交渉とは呼ばない。ただ単に脅しただけじゃないか。心の中で悪態を吐き、歯の根が痛くなるほど、ギリギリと奥歯を噛みしめる。ありったけの憎悪を込めて睨み付けたが効果は全くなかった。

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