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知られたくない 7

「そんなくっそエロい格好してるアンタに言われたくないけどな」 圭斗はククッと喉を鳴らしながらじりじりと距離を詰めてくる。一歩、また一歩と近づく度に、怜旺は無意識のうちに後ずさっていた。だが、背中が壁に当たりそれ以上後ろへ下がることが出来ない。 こんなクソガキ、動画さえなければ瞬殺で沈めてやるのに。逃げるなんて自分らしくない。怜旺は圭斗を真っ直ぐに睨み付けた。 「……いい表情だな。……その目、すげぇゾクゾクする」 圭斗はいきなり怜旺の顎を掴むと、笑みを浮かべながら喉の奥を鳴らした。身長差のせいで上向かされて、不快感が募る。 もう、我慢の限界だった。 「――いい加減にしろよ。クソガキ……」 低い声で唸ると、顎を掴んでいた手を強引に振り払った。そして、次の瞬間渾身の力を込めて鳩尾に一発叩き込む。――筈だった。 圭斗はその攻撃を読んでいたかのように素早く怜旺の腕を掴み、捻り上げる。同時に足を払われて、冷たい床に身体を激しく打ち付けた。 「クッ……!」 「危っぶね。迂闊に近づくとやべぇな。相当場数踏んでるだろ。アンタ一体何者なんだ?」 押さえつけるように、圭斗が身体の上に馬乗りになる。身を捩りなんとか彼を押し返そうとするが、体格差は歴然で、逆にその手を取られて床に押し付けられてしまう。 「クソッ、離せっ!!」 腕を振り解こうと藻掻くものの、びくともしない。それどころか更に強い力で押さえ込まれてしまった。 「今の一発、本気だったよな。オレじゃなかったらヤバかったと思うんだけど?  随分喧嘩慣れしてるみたいじゃん?」 「……答える義理は無い!」 ドスの利いた低い声で唸るが、床に張り付けにされている状態では威圧感も半減してしまう。

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