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トラブル 2

プライドも何もかも全て一度捨ててしまえば、あとは楽になれる。大人しく従う事で丸く収まるのなら、それが一番いい方法じゃないか。 何も怖い物なんて無い。 怜旺は諦めたようにゆっくりと立ち上がると、汚れた下着はポケットに突っ込みズボンを引き上げ、乱れた服を整えた。 圭斗は恐らく、誰彼と巻き込んで集団レイプをしたがるようなタイプではない。 さっき、あの場所に同じく事情を知っているであろう亮雅を伴っていなかったことからもそれは明白で、どちらかと言えばお気に入りの玩具は一人占めして遊びたい典型的な一人っ子タイプなのだろうと予想出来た。 だから、自分さえ我慢すれば、そのうち圭斗も飽きて手を引くに違いない。それまでは従順なフリをしていれば良いのだ。 でも、それは何時まで? 彼が飽きるまでか……。それとも学校を卒業するまで? 想像もしたくなかった。二年も耐える位ならいっそ学校を辞めた方がいいような気もしてくる。 だが、それは出来ない。 自分にはクソ親父が作った莫大な借金を返さなければいけないという重い十字架がある。 それに、怜旺は教師と言う仕事が好きなのだ。辞めたくはない。 結局堂々巡りで答えなど出ないのだが、それでも考えずにはいられなかった。 結局のところ、自分さえ我慢すればそれで――。 怜旺は深い溜息を零すと、誰もいないことを確認して扉の鍵を開け外に出た。 全身にまとわり付くような湿気が、重い足枷のようにも思えて眉を寄せ、手を洗いながら洗面台で自分の顔をチェックする。 思ったよりも普通の顔をしていて安堵した。 落ち込んでいたって事態は変わらないし、時間も待ってはくれない。 他の生徒達にまで弱みを晒す訳にはいかないのだ。 大丈夫。自分は強い……。何度もそう自己暗示をかけ、日常へと戻る事にした。

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