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謎7
午後からの怜旺の授業に圭斗は姿を現さなかった。
一体どこで油を売っているのだろうか?
圭斗の顔を見れば何かわかる事もあるだろうと踏んでいたのに。
何か後ろ暗いことがあるから姿を現さないのでは無いかと変に勘繰ってしまい、妙に落ち着かない気分になる。
授業に支障が出てはいけないと思いつつ、気付けば圭斗の姿を探してしまう自分がいて、そんな自分に嫌気が差す。
亮雅と圭斗が学校で話している所をあまり見掛けないが、一緒にホテルに入ってデリヘルを呼ぶような仲だ。都築が言うように二人が彼を虐めていたのだとしたら、圭斗が関わっている可能性も否定できない。
……出来ればそんなの信じたくない。
アイツはそんなガキくさい事をするようなヤツじゃないはず……。
黒板に板書をしながら、そんな事を考えている自分に気付き、怜旺はハッとしてチョークを握る手を止めた。
いやいや、自分は何を考えている?
圭斗は人の弱みに漬け込んで平気でレイプまがいのことをするような男じゃ無いか。
嫌われているなら、それはそれで構わない筈なのにどうして、アイツが関わっているかもしれないと言う事にショックを受けているのだろう。
自分で自分の感情がわからず困惑して、怜旺はガシガシと髪を掻きむしった。
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