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謎10

よろめく亮雅の首元を掴み、無理やり立たせて便器に頭を押し付ける。 「ちょ、や、やめっ」 「あ? なに温い事言ってんだよ。お前が今、コイツにしようとしてたんだろうが」 暴れる亮雅を押さえつけて、怜旺は冷ややかに亮雅を見据える。 「お、俺は別にそこまでしてねぇ!!」 「ごちゃごちゃウルセェよクソガキ。卑怯な手使って俺を階段から突き飛ばそうとしてたのは誰だ? あぁ?」 ギリギリと締め上げる手に力を込めて藻掻き苦しむ亮雅の頭を強い力で押さえつけた。 教師たちの話によれば、亮雅だってクラスのナンバー2に君臨する男のはずだ。腹に一発食らわしたからと言っても弱すぎる。 「なぜ都築を使って俺を狙った? あ?  言えよほら」 何度も便器の中に押し付けながらドスを利かせて亮雅の耳元で囁けば、観念したのか大人しくなった。 「……だ、だって……アイツが……っ」 「アイツ? 椎堂の事か」 「っ、そうだよ! 、いきなり……。お前からは手を引けとかわけのわかんねぇ事言い出しやがって、人のスマホ壊しやがった! なんでか知らねぇけど、お前の事気に入ってるみたいだし、ムカつくから骨の一本か二本へし折って暫く学校に来れないようにしてやろうって」 「……ほぅ?」 あの時と言うのは恐らく、自分が気を失っている間の出来事の事だろう。何故亮雅が途中で居なくなったのか、学校でもスマホで撮ったはずの動画を理由にして手を出してこないのかが疑問だったが が、まさかそんないざこざがあっていたなんて知らなかった。 だが、だからと言って他人を使って教師を突き落していい理由にはならない。

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