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黒歴史と家庭訪問 2

「玲旺君、先生になってたの! 獅子谷って珍しい名前だと思ったけど……。へぇ、そうなの……」 「最近明峰高校に赴任したんです。 えっと、あの……央君に会う事は出来ますか?」 「あぁ、そうだったわね……。央は最近部屋に籠ってばかりで……出てくるかはわからないんだけど……」 一刻も早く、この場から立ち去りたい一心でさっさと用件をを済ませてしまおうかと口にするが、どうにも母親の歯切れが悪い。 「中にお邪魔してもいいですか?」 「ええ、もちろん」 立ててどうぞどうぞと促され、母親に続いて中へと入る。1DKの狭い室内はモノが少なく綺麗さっぱりと片付いていおり、奥の部屋からは微かにテレビの音が漏れ聞こえてくる。 「央、獅子谷先生が来てくれたわよ」 「……誰それ。会いたくない」 母親が扉をノックしながら声を掛けるが、取り付く島もない返事が返って来る。 無理も無いだろう。彼は怜旺が赴任してから一度も学校に姿を見せていないのだから知らなくて当然と言えば当然だ。 「すみません。あの子ったら……」 「いいですよ。お母さん。実際に今日いきなり会えるとは思ってませんでしたし。僕と央君が会った事あるのなんて数回くらいしか無いですし。それより、少しだけ話を聞かせて貰ってもいいですか?」 「……《《あの》》怜旺君がこんなに立派になって……」 「……」 一々感動されてはやりにくい事この上ない。思わず舌打ちしそうになるのを何とか堪え、引きつり笑いを浮かべながら怜旺はひとまず母親から話を聞きだす方法に切り替える事にした。

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