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黒歴史と家庭訪問4
「圭ちゃんは幼稚園からの幼馴染で、ウチが離婚してからも央とずーっと仲良くしてくれたお友達だったの。中学校は受験して有名な私立の進学校に行っちゃったからもう会う事も無いと思ってたんだけど……」
「……アイツ……」
自分の幼馴染だった男を虐げると言うのは一体どういう了見なのだろうか? 軽い眩暈を覚えつつ一度静かに目を閉じて呼吸を整える。
二人の間に何があったのかはわからないが、不登校の原因は圭斗との確執なのは恐らく間違いないだろう。
「あの、数分でいいので席を外して貰えますか? 央君と話をしてみたいのですが」
「いいけど、無駄だと思うわよ? 私が何を聞いても話そうとはしてくれないし」
「……お願いします。男同士で話がしてみたいんです」
怜旺が頭を下げると、母親は困惑した表情を浮かべていたが、何か思うところがあったのか渋々と部屋を出て行った。
静かになった室内に息を吐くと、改めて天岩戸と化している扉の前に立つ。
「央君。聞こえているんだろう? 出て来なくていいから、少し僕と話をしないか」
「……」
やはりと言うべきだろうか。案の定向こうからの返事はない。
「央君、コンピューターが好きなんだって? 一年の時の成績を見させてもらったけど、凄いじゃないか。プログラミングコンテストで優勝したって書いてあったけど」
「……」
怜旺が褒めても反応は全くない。すぐそこにいる気配はするので聞いてはいるのだろうが話し合いに応じる気は無いらしい。
「家で勉強はしてるんだろう? 保健室登校って言う手もあるし、せめてテストだけでも受けに来ないか? まぁ、キミには少し簡単すぎるかもしれないけどな」
「……先生。何を言っても無駄ですよ。 俺、学校に行く気はないので」
「チッ。じゃぁ、なんで辞めねぇんだよ」
出来るだけ冷静に話をしよう。そう決めていたのに思わず腹の底から低い声が洩れ出てしまい、怜旺は慌てて口元を押さえた。
此処でカッとなってはいけない。
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