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困惑の先に 3
露わになった恥部を見られまいと、何とか閉じようと抵抗するが男はそれを許さないとでも言うかのように太腿の付け根を押さえつけ、怜旺の秘所を晒した。
「っ、見るなっ!」
咄嗟に内股に力を入れるが、逆に男の手を太腿で挟み込む形になってしまい余計羞恥を煽られる。
「見るなって言われてもなぁ……おや? ここはもうこんなに腫れてヒクついてやがるぞ? 今日はピンクキャットの指名は無かったはずだ。何処の男に可愛がって貰ったんだ? ん?」
「……っ、アンタに関係ねぇだろ」
「チッ。相変わらず可愛げのない……。まぁいい。ちゃんと指名料は貰ったんだろうな? まさか、タダでヤらせたとか言うなよ?」
「……このっ守銭奴がっ! ぅ、ぁっ」
男は怜旺の内股を指でなぞる。皮膚が薄い敏感な場所に触れられ、怜旺は身体を強張らせた。そのまま強く内股を抓られ痛みが走り小さく呻く。
「お前の身体は立派な商品なんだよ。わかっているのか?」
「っ、わかってる……」
怜旺は唇を嚙みしめると、忌々し気に男を睨んだ。金を出せと言わんばかりに手を差し出して来るので、怜旺は渋々いつも近くに置くようにしている財布を取り出すと、中から一万円札を数枚抜き取って男に手渡した。
この人でなしはこうすると、ごくたまにだがそのまま上機嫌で出て行ってくれることがある。長年の凌辱から得た苦肉の策だ。
「なんだ、これだけしかないのか? しけてやがんなぁ。まあいい、今日の俺は機嫌がいいんだ。許してやるよ」
男は受け取った紙幣をポケットに捻じ込むと、怜旺の身体をひっくり返してうつ伏せにさせた。
そして膝を立てさせると、尻を高く持ち上げさせる。
まるで犬のような体勢を取らされて羞恥で顔が熱くなったが、下手に抵抗するよりも従順な態度を見せた方が早く済む事を今までの経験上学んでいるので、怜旺は大人しく男に従った。
「お前の身体は極上だからな。誰かに好きになってもらえるかもしれないなんて幻想は捨てろ。お前にあるのはその綺麗な面と、男好きする身体だけだ。誰もお前自身になんて興味は無いんだよ。それを忘れるなよ」
さっきまで考えていたことを見透かしたかのような発言に、怜旺はギクリとした。
だが、動揺を表に出さないように努めながら、枕に顔を埋めて目を閉じる。この男の言う通りだ。自分には何もない。身体と顔以外に価値など無いのだ。その事を誰よりもよくわかっているのは自分自身だったはずだ。
今更、何を動揺しているんだ自分は。圭斗だって、きっとそうだ。あの発言に、深い意味なんてない。
わかってるはずなのに、どうしてこんなに胸がざわつくんだろう。怜旺はそんな胸の疼きに戸惑いながらも、それを振り払うように枕に顔を埋めて、一刻も早くこの地獄が終わることを願った。
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