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困惑の先に 5
正直お似合いだと怜旺は思った。普段、自分にばかりちょっかいを掛けてくる圭斗だが、彼女のような可愛げのある女の子の方がきっと合っている。
自分なんかじゃなくて、二人で居る姿の方がお似合いだ。そう思うと、少しだけ胸が軋んだような気がしたが、それには敢えて気付かない振りをした。
「さて、授業始めるぞ出来損ないども」
「センセー、酷くない? 出来損ないって」
「あんなわかりやすく作ったテストで赤点取るお前らを出来損ないと言わずになんて言うんだ」
今、この教室内には上城央、圭斗、麗花の他に、清楚系ギャルの小春、亮雅、そして何故か都築が補講を受けに来ている。
クラスでも抜きんでているギャル二人と亮雅はまだ理解できるとして、都築は一体何故此処にいるのだろう? 授業態度にも問題は無かったし、テストの成績だってほぼ満点に近かったと言うのに。
「センセー、あたしお腹痛い」
「俺も」
「わたしも~」
「……うん。なんかみんな調子が悪いみたいだな。よし、それじゃあもう今日は帰って休んでいいぞ ……なんて言うと思ってんのか? ぁあ?」
もう誰も真面目に授業を受ける気がない事を悟った玲旺は、貼り付けた作り笑いを引き攣らせながら一同を睨み付ける。
「単位落して留年したくなかったら、真面目に補講を受けろ。わかったか?」
「はーい」
呑気な声が返って来て、眉間の皺がいっそう深くなった。いかんいかん。落ち着け、こんな所でキレていたら後が持たない。
顔を覆って深い溜息を吐くと
「あ~ぁ……、折角センセーにマンツーマンで指導してもらえると思ったのに」
そんな都築の独り言が耳に届く。
コイツは、下心ありまくりじゃねぇか! 思わずツッコミを入れそうになったが、怜旺は敢えて聞こえない振りをした。
しかも、その言葉を聞いた瞬間。何故か圭斗が都築を鬼のような形相に変わったのを怜旺は見逃さなかった。
圭斗の何か言いたげな視線に、都築が気付いているのか居ないのか……。
怜旺は呆れつつも、妙な緊張感を帯びた微妙な空気が流れる教室内を見回して溜息を吐いた。
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