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困惑の先に 7

耳の後ろ、首筋、鎖骨……。なぞられ、吸われると酷く敏感になって身体が跳ね上がった。 「っ、ふ……ぁっ」首筋を通り鎖骨の窪みに舌が這わされる感触に思わず甘い吐息が漏れそうになり慌てて口元を手の甲で覆う。 「……いい声。堪んねぇよ……」 圭斗の興奮に濡れた声音が耳を擽り、その欲情を孕んだ声音に、身体の奥が半ば条件反射のように甘く疼き始める。 「ぅ、んんっ……、ば、かやろ……んな所っ」 「アンタここ好きだろ?」 唇が首筋を辿り、胸元へと移動するにつれ、ゆっくりとシャツのボタンが外されていく。 露になった胸筋をなぞるようにヒヤリとした手が素肌に触れて我に返り、はぁ、と熱く息を吐きながら慌てて圭斗の胸を押し返した。 「……やめろ馬鹿っ! こんな所、誰かに見付かったらどうするんだっ!」 毎回毎回、所構わずに盛られては堪らない。 今までがたまたま運よく見付からなかっただけで、こんなことを続けていればみつかってしまうのも時間の問題だろう。 「俺は困らねえし」 「お前が良くても俺が困るっつーの! クビになったらお前が養ってくれんのか? 無理だろうが」 そもそも、この関係がみんなにバレたら、大問題だ。 クビどころでは絶対にすまない。 しかし、圭斗はそんな怜旺を余所に満更でもなさそうな顔をして、 口の端を上げた。 「それはそれで、面白そうじゃん?」 「お前なぁ……」 だめだ、話にならない。とばかりに、前髪を掻き上げ盛大なため息を吐くと、怜旺はガックリと肩を落とした。

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