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微妙な距離感 7
「あー、悪い。今からコイツ俺と約束あるんだ。だから無理」
「なっ、ちょっ!? お前、何言ってっ!」
案の定、増田達は突然現れた圭斗の存在に空いた口が塞がらないと言うような顔をして、どういうことかと一人慌てる怜旺の姿を見つめている。
「は!? え? な、何それどういうコト? え? 椎堂?」
「獅子谷先生、これは一体……」
いや、何がどうなっているのかは自分が聞きたい。
「あー、ごちゃごちゃウルセェよ。どうだっていいだろ。俺がコイツに用があるの! じゃ、そう言う事だから」
「や、おいっ! ちょっ、そう言う事って何だよっ、おい!!」
圭斗は怜旺の肩を抱く指先に力を込めて増田達から隠すようにすると、ぐいぐいと引っ張るようにしてスタスタと歩き始めた。
背後で増田達の唖然とした表情が見えたが、圭斗は構わずにどんどんと進んで行く。
一体なぜことになってしまったのか。訳がわからないまま角を曲がり海岸線に沿って続く歩道に到着すると、漸く圭斗が足を止めたので怜旺は腕を振り払ってその手を振り解いた。
「何なんだ一体! 何の説明もなしにこんな所に連れて来やがって! 明日、アイツらに言い訳しなきゃいけないのは俺なんだぞ!?」
突然現れた圭斗との関係をどう思われているかと考えると頭が痛くなった。別に彼らとそこまで仲がいい訳では無いし、元々仲が良いわけでもない。
だが、流石に嵐のように現れ、嵐のように去ってゆくのはどうかと思う。
そもそも、圭斗と待ち合わせをした記憶なんて無いのに、どうしてコイツはあんな嘘を吐いたのか……。
「あーもう、うっせぇな。いいだろ別に……。そんなにナオミって女の店に行きたかったのかよアンタ」
あからさまに不機嫌そうな声に問われ、面食らう。何故そこでナオミの店が出てくるのか意味が解らない。
「え? いや……。誰も行くなんて一言も言って無いだろ」
二次会に行くのは元々断ろうと思っていた所だったし、そもそもナオミという女がどんな人物なのかすら知らない。
というか、今の圭斗の言い方だと女の店に行ってほしくないから無理やり連れだしたように聞える。
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