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思い出2

怜旺が母親を事故で亡くしたのは12歳の時だった。 その日はたまたまパート終わりの母親を学校帰りに見つけ、見通しのいい道路をを他愛もない話をしながら歩いていた。 テストで100点を取ったと自慢げに話す怜旺を見て、「今日は怜旺が好きなハンバーグにしようか」なんて笑いながら話していた時だった。 突然、車線をはみ出してきたトラックが歩道にいる二人に向かって突っ込んできたのだ。 あっ!と思った瞬間、怜旺の身体は物凄い勢いで道路脇に突き飛ばされ、尻餅をついた。 何が起きたのか理解するまもなく、耳を塞ぎたくなるほどの衝撃音。そして、悲鳴や何かがひしゃげる音、聞いた事もない悲惨な音が続いた。 「……母さん?」 恐る恐る顔を上げた怜旺が目にしたのは、横転したトラックの下敷きになってぴくりとも動かない母親の姿だった。 物凄い量の血溜まりが事故の凄惨さを物語っているようで、指先から全身の血の気が引いていくのがわかった。そこから先はよく覚えていない。 気が付けば病院のベッドで寝かされており、駆け付けた祖母から母親が自分を庇って居眠り運転のトラックに轢かれて死んでしまったのだと聞かされた。 即死だった。 変わり果てた母の遺体に縋り付いて号泣していた父親は、その日以来、人が変わってしまったかのように仕事に行かなくなり、たびたび怜旺に暴力を振るうようになっていく。

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