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もしかして……?2

9月になったとはいえ、まだまだ蒸し暑い。生温い風を切って走っていると、校門近くで沢山いる生徒達に混じって目立つ金色の髪を靡かせる圭斗の姿を視界に捉えた。 ほんの一瞬だが、彼と目が合ったような気がして、心臓がドキリと高鳴る。 此方に気が付いたらしい圭斗が驚いたような、そんな表情を浮かべていた気がしたけれど……きっと気のせいだろう。 無理やり自分にそう言い聞かせて生徒達の横を通過し、何とか間に合った事に安堵しながら駐輪場にバイクを停めた。 「あっつ……」 蒸れるヘルメットを脱いで小脇に抱えながら職員室へと向かう途中、バタバタと大きな足音を響かせながらこちらに向かって来る足音に気が付く。 何だか、嫌な予感がする。 「……って……、待てッ」 背後から自分の名を呼ぶ声がして振り返ると、顔を真っ赤にした圭斗がこっちに向かって走ってくる。 今更何の用があると言うんだ。夏休み中とうとう一回も連絡してこなかったくせに。 モヤッとした思いが胸中に湧き上がってくるのが解って、怜旺は圭斗からふいと顔を逸して職員室に向かって足を速めた。 「おい待てよ!」 「……」 何で追いかけて来るんだ。 こっちは色々考える事があっていっぱいいっぱいなのに、圭斗の事で悩んでる暇なんて無い。 この所、そればかり考えてしまうのが本当に嫌だ。それに今日は若干二日酔い気味で気分がすこぶる悪い。 「何で逃げるんだよ」 「別に……逃げてなんか……」 ガシッと肩を掴まれて立ち止まる。 「逃げてるじゃねぇか。つか、そんな事より! あのバイク……っ! あれ、小さき百獣の王が乗ってたバイクじゃないか! なんでアンタが……」 どういうことだと言わんばかりの顔をして、興奮気味に話す圭斗を横目に怜旺は深いため息を吐く。 『何で』と言われても困る。あれはもう何年も前の話で……。 「それは……」 一体何から説明すればいいのか解らず言い淀んでいると、職員室の方からニヤニヤとした表情の鷲野が歩いて来るのが見えた。 「チッ。悪いけどちょっと急いでるんだ。お前も早くしないと遅刻になるぞ」 「そんな事はいいから答えろって」 「よくない。バカかお前! 教師が新学期早々遅刻なんて洒落になんねぇんだよアホ!」 尚も食い下がってこようとする圭斗の頭を少し強めのデコピンで弾き、、不意打ちを食らって呻く圭斗の横をすり抜けて職員室へと向かった。

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